日東工業は、静岡県掛川市と共同でIoTを活用した「地域防災システム実証プロジェクト」を6月から1年間にわたって実施する。高機能感震ブレーカーを同市内の歴史的文化財などに設置、地震時のデータを取得して今後の防災政策に活用するシステムを実証していく。
高機能感震ブレーカーは、「感震ブレーカー」と「地震IoTユニット」で構成され、簡易地震計の役割を果たすことができ、高密度な観測網の構築が可能となる。すでに首都圏の一般住宅を対象にした実証実験が行われているが、地方自治体との取り組みは今回が初めてとなる。
プロジェクトでは、高機能感震ブレーカーを市内の掛川城、市役所などの歴史的文化財、公共施設24カ所に30台を設置する。
震度3以上の地震時に各建物の揺れ、建物の傾きなどのデータを取得、IoTを利用してセンターに送る。その後、迅速な被害状況の把握、建物の簡易劣化診断などを行い、防災政策に活用するシステムを実証する。
また、感震ブレーカーの設置により、震度5強以上の地震発生時に、自動的に電気の供給を遮断、電気復電時の復電火災から伝統ある建物を守ることができるため、ブレーカーの普及活動にも結び付けていく。
日東工業と掛川市では、このほど掛川城御殿で、今回のプロジェクトに関する調印式を行った。
調印式で日東工業の佐々木拓郎社長は「当社の工場がある掛川市でプロジェクトを最初に実施することにした。全国各地の自治体に簡易地震計を設置してデータを活用するビジネスを進めると共に、東海地震などの発生時に社会に貢献できるようにしたい」と述べた。