税制・補助金による支援訴え
日本機械工業連合会など8工業会は、生産設備における重要な基幹部品の納期の長期化が深刻な影響を及ぼしている状況に対し、生産性向上のための設備投資への税制や補助金支援、安定供給のための人材確保と柔軟な運用、取引環境の整備、重要部品の政策的な位置づけ、既存施策の再設計など政策提言をまとめて経済産業省に提出した。
■深刻な納期遅れ
世界的な自動化需要などによって加工機械をはじめ生産設備産業に良い波が来ている一方、直動部品や減速機といったメカ部品を中心とした重要部品の納期遅れが深刻化している。
これに対し、重要部品メーカーも、設備投資の前倒しや拡大、人員増強、拠点間の融通、重複発注の精査など対策を実行。需要側の機械メーカーも仕様統一や変更、普及の見込み発注を控えるなどの対応済み。各企業の努力で解決できる範囲を超えており、生産設備にも納期の長期化の影響が及び、同様の事象が数年に一度の割合で起きていることから、中長期的にも抜本的な対策が必要であると訴える。
■生産性向上など4分野
提言は4分野にわたり、ひとつ目は「生産性向上のための施策」。自動化や効率化、増産のための設備投資への税制と補助金による支援と迅速な認可と採択、調達の円滑化に対する施策が必要であるとした。
2つ目は「人材の確保と育成のための施策」。人員の確保と支援に対する支援と、労使合意のもと残業時間など労働基準の一時的な柔軟な運用を認めることを求めた。
3つ目は「中長期安定供給を支える取引環境の整備」。需要と供給双方の企業が問題意識を共有し、未来志向型の取引環境に向けて政策面でも取り組み、特に産業機械分野の業種別下請取引ガイドラインを見直して改善すること。
4つ目が「既存施策との整合」。重要部品に政策的な位置づけを与え、他施策を整合的に制度設計し運用することと、設備導入に対する支援の補助事業の期間を十分に設けるなどの弾力的な運用を求めている。
提言に参加したのは、日本機械工業連合会、日本工作機械工業会、日本工作機器工業会、日本鋳造協会、日本半導体製造装置協会、日本木工機械工業会、日本ロボット工業会、素形材センター。