オプテックス・エフエーの新社長に中島達也氏が3月20日付けで就任した。FA業界で30年のキャリアを有する中島氏が小國勇前社長の築いた同社を、売り上げ100億円達成に向けて経営にあたる。次の飛躍に向けた一手を中島社長に聞いた。
伸びるエリア、伸びる商品、伸びる事業に集中
—— 社長就任の抱負を聞かせてください。
2002年のオプテックス・エフエー創設時から16年社長を務めた小國からバトンを受けたということで、相応のプレッシャーと責任を感じている。一方で、私もFA業界で30年間やってきて、自分の手腕を発揮できるということではワクワク感というか、そちらの方も強い。
小國と共有した時間は2年で、残りの14年の話を聞いてみると、オプテックスから分社してからいろいろなことがあり、小國がジャングルの中をかき分けながら歩んできた結果、オプテックス・エフエーが今ここにあるという印象だ。険しいジャングルを懸命に開拓し、商品的にも営業網的にも、もっといえば「売れる仕組みづくり」というところでもきれいに道を敷いてくれた。私は過去の経験と知識を生かして、まだちょっと道の真ん中に穴が空いていたり、まっすぐと思っていたら実は微妙に曲がっていたりみたいなところがあるので、修正をかけていきながら、アクセル全開で進んでいく。
—— 具体的には?
今まで海外の経験が長く、アメリカ、中国、ヨーロッパに合わせて12年ほど駐在した。幸い、その3つの主要マーケットの動向、人脈も含めてかなりのトレンド情報が入ってくる。変化に対応しながら、グローバルなビジネスをこれまで以上に強化し売り上げを伸ばしていきたい。
今年4月からアメリカ・シカゴに現地法人の販売会社を設立し、拠点を設けた。アメリカは今までは専売代理店に任せてきたが、これからは販売会社を通じて現地で販売ノウハウを提供していく。新たに6社の代理店を設け、州や地域ごとに1番浸透している代理店を、東地区、西地区、中地区それぞれに作って、われわれが直接出向き、営業同行するなりして拡販をしていく。今後もわれわれの理念を理解し、攻めようとしている電機・電子や、当社の強みである食品業界、アメリカで大きな自動車業界にいいお客さまを持っている代理店があれば随時契約していく。
—— アメリカ市場の現状と今後の目標は。
今はまだ少ないが、市場規模を考えると最終的には全社売り上げの10%を目指す。特に自社のセンサブランド「FASTUS」品の売り上げを、アメリカをはじめ中国、日本でも上げていきたい。
—— オプテックスグループの中期計画の中で、オプテックス・エフエーの売り上げ目標はどうなっていますか。
グループとして19年度の売り上げ目標500億円を掲げているが、当社としては19年度90億円、20年度には100億円を目指していく。
—— 今後どんな会社にしていきたいですか。
グループの企業理念が「ベンチャースピリット溢れる企業集団を目指す!」で、個人的にもベンチャースピリットはかなり重視している。売り上げは上がってもベンチャースピリットは忘れない、つまり何事にもチャレンジしていく社風に重きを置いてやっていく。例えば、やるかやらないかで迷うくらいだったら、絶対にやる方を選ぶ。そういうところは大切だと思っている。
また、楽しく仕事ができるというところも重視する。いくら業績が伸びて給料が良くなっても、働いていて楽しくない、やたら管理されるという会社にはしたくない。グループの使命は「ニッチマーケットでナンバーワンを取ること」。そのためにはチャレンジ精神が全てだ。今後も、伸びるエリア、伸びる商品、伸びる事業に集中してやっていきたい。
—— ロボットビジョン、変位センサ、画像検査用LED照明などが、当面注力・強化していく商品ですか。
変位センサは商品的にも市場的にもブームで、今一番力を入れるべき商品と認識している。3月にラインアップを拡充した変位センサ「FASTUS CDXシリーズ」は、既存の他社製品に比べ、WEBサーバ機能の搭載などで差別化が図れており、精度でも凌駕している。基本スペックおよび使い勝手両面で勝てる商品と自負して非常に期待している。
協業では独・ジック社とは約30年の歴史があり、さらに加速して開発だけでなく営業でも密にしている。また、シーシーエスもグループの100%子会社となる。より一層、連携を強化していく。
—— FA業界の現状をどう捉えていますか。
いままでセンサだけでなく、いろいろな商材の販売を経験してきたが、いまは過去30年にはなかった追い風がFA業界に吹いていると感じる。インダストリ4.0、AI、電気自動車など、その辺のテクノロジーは最終的にはFAにつながる。人手不足、人件費高騰などで取り巻く環境面でもセンサを使わざるを得ない状況である。この追い風に絶対に乗っていかないといけない。当然、他のメーカーも売り上げを伸ばすだろうが、「われわれはもっと伸ばす」ということを念頭に置いて事業を拡大していきたい。