樹脂製品は日用品から重要な機構部品まで利用範囲が広がる一方、射出成形で大量生産しやすいため、価格競争に陥りやすく、メーカーとしては工場における生産性と品質管理が重要となる。ニクニ(川崎市高津区)は、2016年から射出成形に特化した自動化、省力化のためのエンジニアリングサービスを開始。費用対効果の高い自動化を実現すると好評だ。
これまで樹脂・プラスチックの射出成形は、汎用品の大量生産だったことから生産効率化や品質管理はあまり進んでいなかった。樹脂の用途が広がるにつれ少量多品種化し、今では労働力不足も相まって自動化や省力化が大きなテーマとなっている。しかし現実には、設備屋による過剰な設備や無駄な工程を加えた自動化に止まり、工程の最適化には至っていない。それに対し同社は、射出成形の専門家を中心としたチームで“経営に効く”効率化を進めている。
例えばある樹脂成形メーカーから、人手でやっている成形品の取り出し後の検査と仕分けを自動化したいという依頼があり、地元の設備屋が出してきたのは、複数台の選別機や検査装置で2000万円以上のシステムだった。一方同社は、1台の選別機に整列と選別用の治具を取り付け、員数管理用のカウンタと検査装置を組み込んだシステムを設計。射出成形機の取り出しからインラインの一連の流れで検査と選別、員数管理ができるシステムを400万円で提案し、見事に受注。4分の1のコストで同等以上の成果を出し、非常に喜ばれたという。
「自動化はひらめき力が大切。射出成形の仕組みを理解しているからこそできる提案が当社の強みだ」(篠原俊行営業部自動機グループマネージャー)
また自動化サービスに加え、自動機分野にも力を入れているる。オリジナル製品として超小型ストッカー「VS370」を開発。580ミリメートルと超小幅サイズでわずかなスペースに設置でき、かんたんな操作で利用できる。「少量多品種で段取り替えが増えているなか、あえて小型にすることで人員配置を適正化でき、スペースも有効利用できる」(篠原氏)という。
今後について篠原氏は「隙間産業だが、成形工程を理解したメーカーとしてかゆいところに手が届く提案を行っていく。当社の主力となるポンプに続く、新たな事業の柱に育てていきたい」としている。