ロームグループのラピスセミコンダクタ(横浜市港北区)は、ウェアラブル機器向けに、世界最小ワイヤレス給電制御チップセット「ML7630(受電・端末側)」「ML7631(送電・充電器側)」を開発した。現在サンプル出荷中で、サンプル価格は各700円。5月から月産10万個の計画で量産を開始する。
近年、新世代のウェアラブル機器として耳につける「ヒアラブル機器」が注目されているが、ヒアラブル機器は超小型であるため、MicroUSBコネクタなど給電用の端子が、小型化や省スペース化の大きな課題となっている。
新製品は、13.56MHz帯域を用いたワイヤレス給電を行うことで1μH程度の小型アンテナの使用を可能にすると同時に、送受電に必要な機能を1チップに統合しSoCとしたことで、従来のMicroUSBコネクタを使用した給電部の占有面積と比較して、面積比で50%減を達成。機器の小型化はもちろん、充電利便性、防水性・防塵性の向上に貢献する。
受電側の「ML7630」は、アンテナの磁界から電力を生成し、バッテリが空になっても動作を開始することが可能。また、200ミリワット出力までのワイヤレス給電を、2.6ミリメートルの小型WL-CSPパッケージで実現している。
さらに、近距離通信技術規格「NFC Forum Type3 Tag v1.0」機能も搭載しており、NFCタッチによるBluetoothのペアリングなどをサポート。一方、送電側の「ML7631」は、モバイルバッテリなどUSB電源から供給される5Vで動作できるため、充電器のモバイル化に貢献する。