横河電機と静岡県立大学薬学部生体機能分子分析学分野(轟木堅一郎教授、水野初講師)の研究グループは、「シングルセローム共同開発研究コンソーシアム」を4月1日に共同で設立した。活動拠点は武田薬品工業が日本発のイノベーションを創出すべく主導する湘南ヘルスイノベーションパーク(神奈川県藤沢市)。
同コンソーシアムでは、「1細胞質量分析法」に関する共同研究を通して培ってきた技術を中核に、質量分析法以外の分析方法にも柔軟に組み合わせることができる1細胞の採取機能や生きた細胞内の様子を直接知るセンシング機能の開発、さらには遺伝子や薬物などを細胞内に直接注入する機能などの追加を検討し、一つひとつの細胞を探査する装置を開発する。
また、新薬開発やライフサイエンス分野のさまざまな研究に携わる国内外の多くの学術団体・企業に開発した装置を活用してもらいながら、1細胞分析手法に関する意見・要望、課題・改善点を共有し、研究者のニーズを捉えた装置と分析法やアプリケーションを開発していく。
「シングルセローム」は生物体内の分子情報を個々の細胞単位で網羅的に解釈しようとする研究。「1細胞質量分析法」は細胞から極細のガラス管で成分を吸い出し、ナノスプレーにより細胞中の分子をイオン化させ、質量分析計を用いて分子の種類と量を検出する手法。細胞1個で分析が可能で、顕微鏡と組み合わせて様子を見ながら高精度に分析できる。