防爆構造の電気機械器具の日本国内での型式認定業務に海外機関の参入が増えている。2015年6月の制度変更で、従来、産業安全技術協会(TIIS)が国内唯一の登録検定機関として独占して業務を行っていたのが、海外の機関でも登録業務が可能になったことによるもの。すでに海外から3社が国内で業務を開始しているが、近くもう1社が参入を計画している。防爆構造の機器需要が増加傾向の中で、従来は型式認定を受けるまでの期間が長いことで申請者からの不満が多かっただけに、費用負担の軽減にもつながるとして期待する声も高まっている。
タイムリーに製品投入
防爆構造の電気機械器具を日本で使用する場合、日本製品はもちろん、海外製品で海外の型式認定を取得していても、再度日本での型式認定を取得する必要がある。日本での形式認定業務はTIISだけが行っていることから、認定取得までの時間がかかるとして、申請者から改善を求める声が多かった。また、貿易障壁と指摘する声も聞かれた。
そこで、15年6月に労働安全衛生法が改正され、外国の認定機関も厚生労働大臣の登録を受けることで、認定業務を行えることに制度が変更された。この結果、現在はイギリス・CML、カナダ・CSA UK、オランダ・DEKRAの3社が外国登録型式検定機関として日本法人を設立して業務を開始している。
さらに、世界の防爆認証支援サービスを行っているエヌ・シー・エス(埼玉県入間市)はこのほど、社内に「Exラボラトリー」を設置し、試験を開始する。ただ、登録型式検定機関ではないことから、型式認定を自社で行うことはできない。アメリカのULと連携を模索している話も出ており、ULが防爆検定業務を開始すれば、国内外5社が認定業務を行うことになる。海外の検定機関が日本に試験設備を有しないのに対し、エヌ・シー・エスとULが連携して型式認定までを国内で対応できることがポイントになってくる。
国内に検定機関が増えたことで業務の処理能力が高まり、型式認定にかかる時間が大幅に短縮されて、販売機会を逃さない製品の市場投入が可能になるとして、申請者からは好評だ。
また、検定費用も検定機関どうしの競争原理が働くことで、低減化する傾向にあると言われている。
TIISが長い歴史を有するのに対し、海外の認定機関はまだ日本での活動歴が少ないという不安要素があるもの、防爆検定制度の改革をつながる動きとして、今後の動向が注目される。