JEMA(日本電機工業会)は、IoTによる製造業の変革に関する提言書「2017年度版 製造業2030」を公表した。
「2017年度版 製造業2030」は、2015年度版、2016年度版に続いて日本電機工業会スマートマニュファクチャリング特別委員会の2017年度の活動をまとめた提言書。IoTによる製造業の革新に対して、電機業界ひいては製造業の関係者に対して製造業の将来像を示し、今後重要となる対応策についてまとめ、提言している。
「2017年度版 製造業2030」 全文ダウンロードはこちら PDF6.7MB
図1 これまでの活動と今後のロードマップ
これまで発行した製造業2030では、2030年のあるべき製造業の姿を、市場環境に合わせて製造プロセスを組み替え、フレキシブルにビジネス環境を構築する「FBM(フレキシブル・ビジネス・アンド・マニュファクチャリング)」という将来像として提言した。
FBMは、これまで大きく取り上げられて来なかったビジネスをそのモデルの中に取り込もうとする試みとなる。
今回は、FBMを実現するために必要な項目をFBMの要件(20項目)としてリストアップ。それらの要件に整合するビジネスと製造のシステムをFBMモデルを使って記述し、システム全体を製造の生産、輸送、金融などの評価基準を使って、全体効率の良否を評価するためのソフトウェア・ツールを製作する構想をまとめた。
FBMのコーディネータは、FBM要素DB(データベース)、FBMツール(ソフトウェア)、FBMモデルを使い、ニーズの変化に対応して最適なバリューチェーンを迅速に構築する役割を持つ。FBMツールによって、生産、輸送、金融などから見たビジネスと製造のシステムの評価値を求め、最適なシステムを構築する構想とし、今後はFBMのコーディネータが活躍できる環境を実現する方向に向かって施策を検討する計画としている。
図2 FBM実現のための要件を含む全体像
制御盤の将来の検討では、制御盤を製造している各社から検討に参加頂き、最新の動向の紹介を通じて、制御盤に使用されるコンポーネント技術の動向、Webシステムを用いた顧客とのビジネスソリューション、また海外の制御盤メーカの技術動向から、制御盤の将来像を議論し、FBMを制盤製造の事例のひとつと捉え、顧客への提供価値に対する制御盤のあるべき姿やその実現手段についてまとめた。
今後は提言書の内容を広く紹介する、意見を集めるため、セミナーを開催する予定となっている。
今後の活動計画
a) FBMの確立に向けた活動
・FBMモデルに基づくシステム評価手法等の開発を含む検証・普及
・FBMのコーディネータのための環境整備
b) 制御盤2030の実現に向けた活動
・FBMの事例として制御盤の製造を取り上げ、その将来像を検討
c) JEMA内委員会への展開
・モータのアプリケーションプロファイルの標準化提案への協力
d) 関連団体との連携
・国内の関連団体(IVIなど)や海外の団体(ZVEI(ドイツ電気・電子工業連盟)、VDMA(ドイツ機械工業連盟)など)との連携