2018年版「ものづくり白書」製造業が直面 4つの危機 経営者の理解と対応が必要

経済産業省と厚生労働省、文部科学省は5月29日、日本の製造業の今とこれからをまとめた2018年版「ものづくり白書」を公開した。今回は、日本の製造業は4つの危機に直面しており、経営者がそれを理解してリーダーシップをもって解決することを訴えている。また生産性向上のためのIoT活用や現場の工夫、人材育成について多くの事例を挙げて紹介しているのが特徴だ。

 

白書では、日本の製造業を取り巻く環境について、大前提として経営層の主導力、実行力が不足しており、4つの点について危機感を持つべきと指摘している。

①少子化で人材が不足している現実に加え、求められる能力も過去とは異なり、デジタル人材やシステム思考の人間が必要であるにも関わらず、そこに産業界が気づいていない、対応できていない。

②日本の製造業の強みとして自信を持ってきたすりあわせ技術や高品質等が、この時代には変わることの障害になっている。

③ITブームが再来していると誤認し、足元の受注好調をいいことに、実際は大変革時代にいることをきちんと認識できていない。

④これまでの成功パターン、自前主義や現場からのボトムアップでの経営のままでは未来はなく、一部では従来のやり方とは断絶する非連続の時代であることを理解できていない。

日本の経営者はこれらを理解する必要があるとした。

その上で取り組まなければならない課題について、「現場力を維持しつつデジタル人材を育成すること」「新たな環境変化に対応した付加価値獲得の必要性」の2つを挙げ、経営層がリーダーシップをもって取り組む必要性を訴えている。

 

現場力、価値創造については、経営主導で生産性向上を進めている事例に加え、コネクテッドインダストリーズの取り組みも紹介。AIを使った加工条件の自動生成(駿河精機)、現場のものと人のつなぎ(ジェイテクト)、ロボット活用による24時間365日生産(土屋合成)、日本一楽しい町工場(中里スプリング製作所)、検査工程の自動化(JFEスチール)、AI活用の人と機械の協働(キユーピー)など50以上の事例を紹介している。

 

人材育成についても、社内塾、社外研修、研修施設の開設、改善インストラクターの活用、5Sの推進、ものづくり女子塾などを取り上げている。また若年層からのものづくり人材育成、教育の取り組みなどもまとめている。

 

ものづくり白書は以下のアドレスから誰でも入手できる。http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2018/index.html

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