今日、マシンビジョンの世界ではグローバルシャッタCMOSイメージセンサが浸透しています。このセンサはCCDセンサやローリングシャッタセンサと同等の光学性能を持ちながら、その他多くのメリットを持ち合わせています。そのため、現代の低解像度センサ市場においては、CCDセンサおよびローリングシャッタセンサの大半がグローバルシャッタCMOSイメージセンサに置き換わっています。超高解像度の場合はまだCCDが主流ですが、ここでもCMOS需要の伸びがみられます。結果としてカメラの設計と運用をできる限りシンプルに留め、グローバルシャッタを導入してフレームレートを向上させようという傾向が高まっています。
多様な解像度サポート 既存技術ベースにパフォーマンス向上
現行のams CMV製品シリーズは、特許取得済の相関2重サンプリング(CDS)搭載8Tピクセル設計とパイプライングローバルシャッタを使用し、VGAから最大20Mpまで多様な解像度をサポートしています。この製品シリーズの新型CMV50000は35ミリメートルの光学フォーマット(36.43×27.62ミリメートル)にて、フル解像度で最大30fpsの稼働が可能な47.5Mpのイメージセンサで、旧CMV製品シリーズに搭載の既存技術をベースに、パフォーマンスと機能性をより向上させました。
CMV50000は4.6μm8Tのパイプライングローバルシャッタと本格的なCDSを用いた、7920×6004のピクセルアレイを搭載。ピクセルサイズが小さい場合でも、より良いパフォーマンスを体感できます。このセンサは12b ADC装備でノイズレベルを最低水準に抑えながらも(8.8e)、直線性の高いフルウェルキャパシティ(FWC、14500e)により、64dBという広いダイナミックレンジを実現しています。低い暗電流(60℃で66e/s)とチップ上のオプティカルブラッククランプの効果により、冷却なしでも数秒間の長い露光時間を維持することができます。
またセンサ内でチップ上のrow補正が可能であるため、センサから直接鮮明な画像を取得することができます。またビニング機能によりFWCを58keまで拡大、SNRを倍増させ、明るく見やすい詳細な画像処理を実現します。CMV50000はインターリーブ露光HDRモードを備えており、最大10の対象領域(ROI)に対応、チップ上の高精度温度センサ、複数のトリガーモード、最大4倍のアナログゲインなどすべての機能をシンプルなSPIレジスタで制御可能です。これはすべて30fpsのフル解像度に対応しており、より小型のウィンドウであればさらに迅速な動作が期待できます。
35ミリメートルの光学フォーマットにより、標準のカメラレンズを採用しながらもよりシンプルなシステム設計が可能となります。
▼アプリケーション
高解像度、スピードとパフォーマンスのすべてを兼ね備えたCMV50000は、ハイエンドなマシンビジョン、フラットパネルディスプレイ(FPD)検査、セキュリティ、空撮、ITSなどさまざまなアプリケーションにご利用いただけます。
▼評価キット
amsではCMV50000用の評価キット(EVK)もご用意しています。EVKは高速のオンボードメモリを搭載しており、画像をフルフレームレート、フル解像度でキャプチャ&保存することができます。原画像は、PCに転送して後にチェックすることも可能です。EVKはUSB 3.0接続を採用しており、USB3Vision標準に準拠しています。使いやすいソフトウエア(NI MAXベース)搭載で、イメージセンサの全体評価を行う場合は簡単にテストシステムと統合できます。
▼次世代に向けた取り組み
近年は高解像度の追求に加えて、より小型かつ軽量のカメラの需要も増加の一途をたどっています。これを実現するには、画素サイズを低減するしか方法がありません。画素サイズが小さければパフォーマンスも落ちると思われますが、amsでは高いパフォーマンスを維持したまま画素サイズをシュリンクする技術を研究しています。これにより、高パフォーマンスと高解像度を兼ね備えた小型・軽量カメラの誕生が期待できます。成功すれば、高額な大型光学機器を導入し、狭いスペースに設置するといった従来方式に革命を起こすことができるでしょう。
(ams アプリケーションエンジニア Pieterjan Daelemans)