20年まで短期成長活動を支援
経済産業省は6月6日、2020年までの短期間で生産性を向上させるために企業活動を支援する「生産性向上特別措置法」の施行を発表した。IoT税制(コネクテッドインダストリー税制)を創設し、企業のデータ利活用を促進するためにIoT設備投資に対する減税を行うこと、中小企業の設備投資に対する優遇措置を与えること、プロジェクト型「規制のサンドボックス」制度を創設することなどが盛り込まれている。
■企業のデータ利活用 IoT投資に減税
IoT税制は「データの共有・連携のためのIoT投資の減税等」の取り組みのひとつとして創設され、企業のデータ連携・利活用に向けた取り組み計画を国が認定し、そこに必要なシステムやセンサ、ロボットなどの導入といったIoT設備投資に対して減税を行う。
青色申告をしているすべての事業者を対象とし、同一工場や事業所内で新たにセンサを設置してIoTを使った生産性向上への取り組みのほか、社内の工場間や事業所間、社外の公共データと社内データ、社外のほかの法人とのデータ連携・利活用の取り組みに対して支援を行う。企業はこれらを「革新的データ産業活用計画」として国に申請して認定を受け、それに基づいて行う設備投資について税額控除3%または特別償却30%を受けることができる。
対象設備は、具体的にはセンサなどデータ収集機器、データ分析によって自動化するロボットや工作機械、データ連携・分析に必要なサーバやAI、ソフトウェアなどのシステム、サイバーセキュリティ対策製品など。最低投資合計額は5000万円としている。
詳細は
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/data-katsuyo/iot-zeisei/iot-zeisei.html
■新規取得設備 固定資産税最大ゼロ
また「中小企業の生産性向上のための設備投資の促進」では、中小企業が市町村の認定を受けた計画に基づいて先端設備などを導入する際、優遇措置を受けられる。認定を受けた中小企業の設備投資は、臨時・異例措置として、市町村の判断によって新規取得設備の固定資産税が最大ゼロになる。
具体的には、企業が年率3%以上の労働生産性の向上を見込む「先端設備等導入計画」を策定して申請し、市町村から認定を受けた設備投資が対象となる。対象となる設備は、旧モデルに比べて年平均1%の生産性向上を見込めるもので、機械装置であれば10年以内に販売開始した製品で160万円以上のもの、測定工具・検査工具は5年以内のモデルで30万円以上、器具備品は6年以内のもので30万円以上、建物付属設備は14年以内で60万円以上のものとなっている。
さらに認定を受けた企業は、ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス 経営力向上支援事業)やIT補助金(サービス等生産性向上 IT導入支援事業)、新たな販路開拓を対象とした持続化補助金(小規模事業者持続化補助金)、サポイン補助金(戦略的基盤技術高度化支援事業)に対して優先採択の対象となる。
■新技術やサービスの実験環境の整備も
また法律では、プロジェクト型「規制のサンドボックス」制度も創設。新たな技術やビジネスモデルを社会実装するときに障害となる各種規制について、参加者や期間を限定することなどにより、既存の規制にとらわれることなく新しい技術などの実証を行うことができる環境の整備を開始する。
事前相談・申請の窓口は
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/regulatorysandbox.html