富士電機機器制御(東京都中央区)は、同社の電磁接触器・電磁開閉器や配線用遮断器など6機種約3500形式の配線部分に「スプリング端子」を採用した製品の販売を6月20日から開始した。同社によると、大電流が流れる主回路機器へのスプリング端子の採用は国内初だという。
スプリング端子は、配線端子にフェルール電線を挿入するだけで配線が完了することから、従来のねじ式に比べて制御盤などへの取り付け配線工数を30%削減でき、しかもスピーディーに均質の配線が可能で、生産効率向上に大きな効果が生まれる。
また、スプリング端子は独自設計の板ばねとシミュレーション技術を駆使し、板ばねの形状や板ばねが電線を押し付ける角度を最適化することで、挿入された電線を確実に保持し続けることが可能な構造とし、主回路に求められる性能の確保に成功した。
これにより、従来のねじ端子と同等の強固な電線保持力を有しながら、振動や長期間使用による緩みがないため、稼働時の品質維持に加え、メンテナンスの際に必要なねじの緩み検査や増し締めが不要になるなど、保全作業の手間軽減にも貢献する。
電気器具の配線端子には日本では一般的にねじ端子を使用するため、配線作業にはねじを締める力加減などの技能を要する。制御盤の生産現場では熟練工不足から、配線における簡易化、工数の削減、メンテナンスの手間軽減などのニーズが急速に高まっている。
今回は主力製品である電磁接触器・電磁開閉器、配線用遮断器、漏電遮断器、サーキットプロテクタ、リレー・タイマー用ソケットなどに採用し、今年9月にはマニュアルモータスタータにも採用して発売する。
同社では新製品の発売により、電磁開閉器や配線用遮断器など国内シェアトップクラスの器具製品における新たな市場を開拓し、さらなる事業拡大を目指す計画。