~大規模なアプリケーションに対応、プラントワイドの最適化制御を実現~
横河電機は、OpreX Asset Operations and Optimizationのラインアップとして高度制御ソリューション「Platform for Advanced Control and Estimation R5.02」をシェルと共同で開発、7月17日から販売を開始しますのでお知らせします。
▲Platform for Advanced Control and Estimation R5.02
これは、シェルが自社のプラント操業を通して培ってきた高度制御の技術と、横河電機が制御システムサプライヤーとして培ってきたリアルタイム制御技術を生かして開発したソフトウエアパッケージで、お客様の生産性の向上を支援するものです。
今回当社は、現行製品「Platform for Advanced Control and Estimation R5.01」をバージョンアップし、プラントワイドの最適化とシステムの高稼働率の維持および運転員の負荷低減を支援します。
開発の背景
高度制御システムは、通常の制御システムでは温度、流量、圧力などのプロセス値を目標範囲に維持することが難しい生産工程において、プロセス値を目標範囲内に維持して最適値により近づけ、製品収率の向上やエネルギー使用の効率化を実現するシステムです。昨今では、石油、石油化学はもとより、化学やLNGなどのプラントにおいても、高度制御システムの導入が進み、生産性向上に貢献する技術として高度制御への注目が高まっています。
当社の「Platform for Advanced Control and Estimation」は、多変数モデル予測制御(プロセスの動特性をモデル化し、モデルによる予測結果に基づいて多変数の制御を行うシステム)、ソフトセンサ(温度、流量、圧力などのプロセスの測定値からリアルタイムに品質を推定するシステム)、およびユーザーがカスタマイズできる各種演算式を、同一のプラットフォーム上で構築、運用できるソフトウエアパッケージです。
当社はお客様の最新のニーズに対応し、継続して機能強化を図っています。今回は、プラントワイドの最適化制御を実現したいというニーズと、システム導入後も長期間にわたって高い稼働率を維持したいというニーズに対応しました。さらに、省人化や操作監視範囲の拡大によって増大している運転員の負荷を低減したいという現場の課題に対し、操作性の向上を図りました。
機能強化の特長
1. 大規模なアプリケーションに対応、プラントワイドの最適化制御を実現
高度制御システムは、制御対象アプリケーションの規模が大きいほど大量のデータを処理するため、高速な演算処理能力が要求されます。従来製品は、中小規模のアプリケーションに対応し、工程単位での部分最適化制御を実現してきました。
今回、演算処理能力をより高速化し、工程間をまたいだ大規模なアプリケーションを構築して一括して制御できるようになり、プラントワイドの最適化制御を実現します。
また、高度制御の対象のプロセスに影響を与える、または影響を受ける他装置やユーティリティのプロセスデータも、測定値リストとして同じ画面で監視できるようになります。これまで運転員は、生産制御システムと高度制御システムのそれぞれの画面でデータを参照して運転情報として活用していましたが、これらを同じ画面で見ながら迅速に対応できるようになります。
▲測定値リスト画面
2. 操業条件の変更や設備の経年変化に対してもシステムの稼働率を維持
高度制御システムは、導入後の操業条件の変更や設備の経年変化による高度制御の効果の低下により、動特性応答モデルにずれが生じるため、モデルの再構築が必要です。
「Platform for Advanced Control and Estimation」は、過去の任意の時点における、高度制御を実施した時の予測トレンド(閉ループ予測トレンド)と実測値のトレンドを重ね合わせて比較することで、ずれを簡単に把握できます。これに加えて、自動制御を解除した場合のプラントの挙動を予測するトレンド(開ループトレンド)も表示できるようになりました。
運転員は、自動制御を解除した後のプロセスの動きを前もって把握できます。
3. 操作性の向上で効率のよい操作・監視が可能
画面の表示履歴から、過去に表示した画面をワンタッチで表示できるようになりました。また、よく表示する画面をお気に入り登録して、見たい画面にスピーディに展開できるようになりました。
▲表示履歴(ドロップダウンリスト)を含む監視操作画面
主な用途
石油、石油化学、化学、ガスなどの連続プロセスをもつプラントにおける高度制御