〜汎用PLCアダプターも発売〜
▲PLCアダプター「DA-PU100-N」
パナソニックは、「HD-PLC」(※1)通信方式に対応した産業用機器組み込み型PLC(Power Line Communication)デバイスの開発製造受託を、2018年8月より開始します。
あらゆるモノがインターネットにつながるIoT関連需要の進展により、産業用機器や社会システムなど多くの分野においても通信環境構築の必要性が高まっています。「HD-PLC」は、既存の電力線を利用する通信技術のため、新たな通信ケーブルを敷設することなく、有線による安定した通信が可能になります。
このような特長を持つ「HD-PLC」は、工場など無線による通信に障害がある環境での代替手段としての活用が期待されています。
このたび、当社は、産業用機器に組み込める「HD-PLC」通信方式に対応したPLCデバイスの開発製造受託を開始しました。開発したPLCデバイスを産業用機器などに組み込むことにより、既設の電力線を活用した通信ネットワーク構築が可能になります。当社の保有するコア技術をベースに、お客様のさまざまなニーズに応じた開発・生産を行います。
一例として、PLCモジュールのデジタルボードから重畳回路を搭載したアナログボードまで、組み込む機器に応じた開発を行います。AC100Vから240Vまでのマルチな入力電圧への対応やDC入力への対応、単相/3相(※2)への重畳などに対応可能です。
また、イーサネットからの変換に加え工場などの制御機器に多く利用されているRS-485(※3)やUSBインターフェースの電力線通信への変換など、各種インターフェースに対応することもできます。さらに、マルチホップ機能(※4)により、複数のPLC機器を中継して通信できるため、大きな工場やビル内でも長距離通信が可能です。
なお、お客様での評価や先行導入のために、マルチホップ機能を搭載した、汎用PLCアダプター「DA-PU100」シリーズ4モデルを2018年8月に発売します。防塵性能IP5Xや広範囲な使用環境温度(-25~60℃)への対応など、現場でお使いいただける耐環境性能を有するとともに、イーサネットのみならず、RS-485やUSBといった各種インターフェースに対応し、IoT機器の通信環境構築の応用範囲を広げます。
当社は、電力線を利用した高速通信を容易に実現する、「HD-PLC」対応の通信機器の提供を通じて、IoTネットワークソリューションを提案してまいります。
【お問合せ先】
パナソニック システムお客様相談センター
TEL: 0120-878-410(受付:9時~17時30分<土・日・祝日は受付のみ>)
【対応可能な仕様例】
1. お客様の機器仕様に応じたモジュール構成
・組込まれる機器やシステムに応じて、必要な構成を抽出し開発
「PLC通信デジタル部のみの構成」、「重畳回路を含むアナログ部とPLC通信デジタル部で構成」、または「アダプターとして完成品での構成」などの対応が可能です。
・入力はAC100Vだけでなく240Vまでのマルチ電圧、および単相/3相や、DCにも対応可能
・使用される環境などお客さまの要求仕様に応じた設計を実施
例えば、広範囲な使用環境温度や防塵対策(アダプターの場合)に対応可能です。
2. マルチホップ機能やセカンダリマスター機能に対応
・マルチホップ機能にも対応可能
複数のPLC機器で中継することにより、大きな工場やビル内でも長距離通信が可能になります。また、通信経路にノイズや伝送特性の変化などが発生した場合でも、自動的にルートを変更し安定した通信を維持します。
・セカンダリマスター機能を搭載可能
マスター(親機)が故障した場合、あらかじめ指定したセカンダリマスターが自動的にマスター機能を引継ぎ、通信経路を再構築してネットワーク全体がダウンすることを防ぎます。
3. 応用範囲を広げる各種インターフェースに対応
・イーサネットから電力線通信への変換
・ビルのエネマネ機器や工場などの制御機器に多く利用されているRS-485インターフェースの電力線通信への変換にも対応
・USBデバイスサーバー機能も搭載しているため、USB仮想化技術により、USB機器をイーサネット・電力線にて延伸して使用することも可能
4. 汎用PLCアダプター「DA-PU100」シリーズを同時発売
お客様での評価や先行導入のため、汎用PLCアダプター「DA-PU100」シリーズ4機種を同時発売。組み込みデバイスの開発前に、現場にて「HD-PLC」通信方式の特長をご確認いただけます。
・現場でお使いいただける耐環境性能
広範囲な使用環境温度(-25~60℃)、防塵性能IP5X(動作や安全を損なう粉塵の進入を防ぐ)、電気回路は汚染度3(湿気を含んだ埃や切削粉などが想定される環境)に対応。
・マルチホップ機能による長距離通信とセカンダリマスター機能によるシステム安定性
マルチホップ機能に加えセカンダリマスター機能を搭載し、大きな工場やビルでも安定したリダンダンシーの高い通信が可能。
・応用範囲を広げる各種インターフェース搭載
イーサネットから電力線通信への変換に加え、エネマネ機器や工場などの制御機器に多く利用されているRS-485インターフェースの電力線通信への変換にも対応。また、USBデバイスサーバー機能を搭載し、USB仮想化技術により、USB機器をイーサネット・電力線にて延伸して使用可能。
※1 「HD-PLC」はパナソニック株式会社が提唱する高速電力線通信方式の名称で、日本およびその他の国での登録商標または商標です。
※2 3相での使用は法律の定めにより海外でのみ可能です。
※3 EIA(Electronic Industries Association:米国電子工業会)のシリアル通信規格で、最大32台の機器が接続可能です。
※4 マルチホップ機能とは、端末間の中継機能により、通信エリアの範囲を広げることができる技術で国際標準規格I TU-T G.9905で採用されたCMSR(Centralized Metric based Source Routing)の応用技術です。