富士電機(東京都品川区)は、蓄電池併設型マルチPCS(パワーコンディショナ)を発売しましたので、お知らせいたします。
1. 背景
1) 狙い
温出効果ガスの排出抑制に向けて、再生可能エネルギーのさらなる普及が期待されています。国内では太陽光発電が、2012年のFIT(固定価格買取制度)実施以降大きく導入が進んだものの、認定設備の稼働率は2017年9月末時点で33.5%(※1)(容量ベース)で、PCSを始めとした関連機器の需要の緩やかな継続が予想されています。
海外では、再生可能エネルギーに対する各国の優遇施策を背景に、太陽光発電の発電容量は2025年には対2016年約3倍(約940GW)(※2)と、今後も引き続き成長が見込まれます。
再生可能エネルギーの導入が拡大すると、発電量の変動を抑制し、電力の需給バランスを保つことの重要性が高まります。その解決策の一つが蓄電池の活用です。蓄電池を併設した太陽光発電設備では、昼夜・日照量などで変動しやすい電力需給バランスを蓄電池が整えます。
発電量が消費を上回れば蓄電池に充電し、足りない時には蓄電池に貯めていた電気を放電し使用。この充放電を高精度で制御することが、発電量や系統の安定化につながります。
今回新たに発売する蓄電池併設型マルチPCSは、蓄電池併設型の設備に必要なPCSの設置台数を減らし、低コスト化と高効率化を実現。お客様の投資負担軽減及び売電事業に貢献します。
2) ターゲット市場
再生可能エネルギーを活用した分散型電源の導入を進める東南アジアを中心に、グローバル市場に展開していきます。
※1 出典:経済産業省資源エネルギー庁
※2 出典:IEA World Energy Outlook 2017
▲製品外観図
2. 製品の特長
1)2種類のPCSを集約し、設備の低コスト化と電力損失の低減に貢献
従来の蓄電池を併設した太陽光発電設備では、太陽光パネルと蓄電池それぞれに電力変換を行うPCSが必要でした。
本製品は、PCSを構成するインバータ回路やコントローラーを集約することで、2種類のPCSが持つ機能を一体化。PCSとそれに付随する変圧器の設置台数や設置工数を減らすことができ、従来設備(※3)に比べて約20%の低コスト化を実現します。
さらに、太陽電池が発電する電力を交流に変換することなく蓄電池に充電できるため、電力損失が従来に比べて4~5%低減します。
※3:当社従来製品
▲太陽電池用と蓄電池用のPCSを1台に集約
2)高精度な出力制御で、系統・発電量の安定化を支援
当社は、業界に先駆けて実証・実運用を重ねてきた風力発電施設での蓄電池制御における実績を基にした制御モデルを構築しており、一定期間の発電量変化の割合(発電量変化率)は世界最高水準(1分間で1%以内)です。
本製品にこの制御モデルを適用(※4)することで、系統・発電量の安定化を支援します。
※4:オプションとして適用可能