赴任者のための現地(中国人)社員のマネジメント(その1)
-赴任直後にすべきこと-①
まずは社内外の情報収集
企業がグローバル化して海外展開を加速させている中で海外拠点、ここでは中国工場ですが、その経営がうまくいくかいかないかが本社の経営に与える影響は、以前に比べて格段に大きくなっています。ですから、中国工場の成否、そしてそれを委ねた駐在員、特に総経理・工場長がしっかりやってくれるかどうかは、本社としての重要関心事項になっています。
そのような意味で中国工場の駐在員、特に総経理・工場長として赴任した方は、非常に重要な役割を担っています。「大過なく自分の任期が終えられればよい」。この記事を読んでいる方にこのような考えの方はいないと思いますが、これではいけません。責任者としてミッションをしっかり果たすことが期待されているのです。
中国工場運営においては、現地社員(中国人)をマネジメントすることが最も重要なことです。このシリーズでは、赴任者が知っておくべき、また、注意すべき現地社員のマネジメントについて書くことにします。
第1回目の今回は「赴任直後に力を入れるべきこと」についてです。
何事も最初が肝心です。中国赴任も同じではじめにきちんとした対応をすることがあなたの赴任を成功に導きます。
前任者からの引き継ぎ
前任者からの引き継ぎはちゃんとやってもらいましょう。前任者から現地の事情や情報をしっかり聞きます。社内のことはもちろんですが、社外のことも聞いておくことが大事です。
社内であれば、例えばキーマンは誰だとか、注意が必要な人は誰とか。ほかにも生産上の問題や人事・労務の問題などを確認します。
社外であれば、顧客、取引先はもちろんですが、地元政府などの関係者にもあいさつを忘れてはいけません。中国で企業活動をする上で必要なことです。ほかにも日本企業や日本人会などの集まりにも交代のあいさつをします。
ただし、こうした前任者からの話はあくまで情報として受け止め、全てをうのみにはしないこと。それは前任者の好き嫌いや思いが多分に含まれていることがあり客観的な事実とは少し異なるからです。入手した情報はあくまでも参考にとどめ、自分で確かめ判断するようにしてください。
工場の現状把握
次にやってほしいのが工場の現状把握です。現状がわからないうちにあれこれ手や口を出すと失敗する可能性が高いと言えます。特に総経理や工場長として赴任する人は、工場の財務状況は必ず把握しなければなりません。これなどは赴任する前にチェックできるのであればやっておきたいものです。財務状況に問題があるのかないのか、どこに問題があるのかなどを最初の時点でつかんでおく必要があります。
現地での仕事の流れも最初に理解します。同じ製品の生産に関しても日本とは違う流れになっていることも少なくありません。それは、現地の事情に合わせてアレンジすることも多いからです。アレンジした理由を確認もしないで「どうしてこんな方法にしているんだ」などと怒る人もたまにいますが、これなどは信頼を失うことにつながってしまいます。ほかにも中国人スタッフの人間関係や力関係なども把握しておきたいところです。
★外観目視検査セミナー開催
(会場:東京・北とぴあ)
2018年9月28日(金)10:15~16:30
受講料3万2400円(税込)
「精度向上に向けた外観目視検査の上手な進め方と具体的実施手順」
~外観品質を保証する・バラツキ低減・精度向上のための基礎講座~
基準の設定、限度見本、検査員の能力を最大限に発揮させる検査環境、検査員の育成・教育、検査精度維持のための定期認定について解説。
詳細は、KPIマネジメント(株)または下記URLから
http://www.prestoimprove.com/seminar20180928.html
◆根本 隆吉
KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント。電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導および品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走。著書に「こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善〈虎の巻〉」(日刊工業新聞社)など。