IoT化した熱処理炉活用で夜間確認の負荷を削減
【事例のポイント】
- 夜間等の稼働管理の負荷低減及び異常時の即時対応を⽬指して、IoT化した熱処理炉の導⼊と⼀部既設炉を連携IoT化
- さらにIoTで営業業務(受注票作成、納品・請求書発⾏業務)のOA化
【企業概要】
岡⾕熱処理⼯業は、1960年創業。「(G)syori」(歪み極⼩化熱処理)や「O.Nsyori」(〔素材選定〜熱処理〜表⾯改質〜コーティング〕のオーダーメイド処理)等で技術⼒に定評のある企業。
平成28年度補正「⾰新的ものづくり・商業・サービス開発⽀援補助⾦」をはじめ、多数の補助⾦を活⽤した技術開発を進め、技術⼒に⼀層の磨きをかけている。また、多品種少量及び特殊処理(硬さ・靭性)にも柔軟に対応している。
【解決を目指した課題】
通常、熱処理炉は夜間は無⼈で運転するが、トラブルで熱処理炉が⽌まると、製品劣化・納期遅延が発⽣する。そのため、夜間においては頻繁に管理者が熱処理炉の稼働状況を確認していたが、その負荷は多⼤であった。また、作業時間内であっても瞬停が発⽣した際には、そのたびに炉の異常を確認することが必要であり、確認作業が⾮効率であった。
また、同社では煩雑化している営業業務(受注票作成、納品・請求書発⾏業務)の作業・管理を⼿作業で⾏うために、多くの⼿間をかける必要があった。
【課題への対応】
これらの課題を解決するために、同社ではIoT導⼊を図った。それに際しては、平成28年度補正「⾰新的ものづくり・商業・サービス開発⽀援補助⾦」を活⽤し、熱処理炉メーカとの共同開発を⾏った。
またこのような取組みに併せ、営業業務については⼀連の作業(受注作成票〜納品・請求書発⾏)のIoT・OA化を実施した。
同社では熱処理炉メーカと連携して、新規導⼊の熱処理炉2基と既設炉3基をIoT化し、スマートフォンでリアルタイムに熱処理炉の細部にわたる稼働状況を監視できるとともに、異常時緊急停⽌ができる仕組みを構築した。
また、営業業務のOA化を図った。即ち担当者が顧客先で受けた受注内容について、その場でデジカメ撮影を含め電⼦的に受注票を作成し、インターネット回線を介して本社に伝送する仕組みを構築した。
【メリット・効果】
IoT化した熱処理炉の活⽤により、夜間・休⽇に熱処理炉の稼働確認のために、⼯場まで出向く負担がなくなった。加えて、いつでも稼働状況の確認や熱処理炉の停⽌が可能なことが、管理者の負荷軽減に繋がったことは極めて⼤きい。
IoT・AI化により、熱処理の温度調整等の実績がデータとして蓄積され、ノウハウ化が図られることにより更に⾼度な熱処理の実現が期待される。
また、営業業務のOA化を通じて、担当者が⾏う受注票作成作業が効率化・迅速化・正確化し効果を上げるとともに、データの集積・管理の充実が図られる。
出典:経済産業省関東経済産業局「中小ものづくり企業IoT等活用事例集2017」