赴任者のための現地(中国人)社員のマネジメント(その1)
-赴任直後にすべきこと-③
信頼を失う「上から目線」
赴任直後に必要なことのひとつに「リーダーとして認知される第一歩を築く」ことがあります。
中国人社員は常に日本人のことを、駐在員であるあなたのことを本当によく見ています。今度来た日本人はいったいどれくらい仕事ができる人なのかを値踏みしています。逆に駐在員も常に中国人社員から業務、行動、しぐさなどを見られていると意識しておくこと、およびそれを意識した行動をすることが必要です。
総経理や工場長がトップとして認知されるには、自分の会社の理念やビジョンを語れることが必要です。本社の理念やビジョンがあり、それを踏まえて中国工場の理念やビジョンがあるはずですから、そのつながりを明確に話せることが必要です。さらに本社の方針に従って中国工場の具体的な事業戦略や方針を策定できなければなりません。これらを一貫してぶれることなく説明し、進めることが必要です。
つまり、自分はこの工場をこうしたい、このような工場にしたい、そのためにこういうことをやっていくという思いを周りの中国人スタッフに伝えることが大事です。
部門長クラスで赴任した方は、自分のミッションをしっかり認識し周囲に説明することは最低限必要なことです。また、部門最適ではなく全体最適となるように意識してください。中国人は他部門との連携がうまくありませんから、日本人駐在員が他部門と連携して全体最適(工場最適)となるように行動することが、中国人スタッフの手本となり、信頼につながると考えてください。
また、日本でもそうですが、ものづくりをしていく中では中国でもいろいろなトラブルが発生します。それらトラブルが発生したときに逃げる、他人任せにするなどでは、中国人社員に信頼されません。責任者であるあなたが逃げずに判断を下すことが大事です。
最後に中国駐在において自らの言動で失敗する、中国人スタッフから嫌われるケースについて触れたいと思います。
中国で仕事をする訳ですから、中国の人と良好なコミュニケーションを取れることが必須です。いくらスキルがあってもこれがうまくいかないと、中国で仕事を進めるのは難しいと言えます。
失敗するパターンはいろいろありますが、その中で一番多いのは、日本人というだけで優越した感覚を持っている人。別の言い方をすると上から目線の人です。大半の人は自分はそんなことはないと思っていますが、無意識のうちにそうなっている人は少なくありません。このような上から目線や無意識の意識は、中国人スタッフに伝わってしまい信頼を失うことにつながります。
次回記事では、コミュニケーションで失敗するタイプや現地社員に嫌われてしまうタイプの具体例を紹介します。
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◆根本 隆吉
KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント。電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導および品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走。著書に「こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善〈虎の巻〉」(日刊工業新聞社)など