作業員向け ウェアラブル端末、アシストスーツなどに熱視線
いま製造業が直面している喫緊の課題は「生産性」。特に現場の効率化に対する関心が高く、IoTを利用した装置の稼働監視や予兆保全などの検討が進んでいる。とは言え、現場で動いているのは装置だけではない。
作業の大半は人が担い、その生産性を上げる取り組みも重要になる。直接的に作業者を支援するツールやサービスが拡大している。
矢野経済研究所は、スマートグラスやスマートウォッチ、ヘッドマウントディスプレイなどウェアラブル端末とロボット等の現場作業の支援ソリューションシステムの設置数を調査した。
14~15年ころから医療や介護、製造業、建設業、運輸業、物流業などを中心に実用化がはじまり、17年度には16年度比92.6%増の4970システムまで拡大。急激に伸びているが、現時点ではPoCや実証実験の段階で、一部無償サービスとして提供されていて実際に料金をとって外販されている事例は少ないとしている。
しかしながら、段階世代が作業現場から去り、人手不足がより逼迫になる20年度以降は急速に拡大し、22年度には2万7000システムまで拡大すると予測している。
IDCは、国内のウェアラブルデバイスの出荷台数予測を発表し、18年は85.6万台が出荷され、22年には124.8万台まで拡大すると予測。これはコンシューマも含めた数字だが、同社は「コンシューマー市場が成長を牽引する海外と異なり、日本では法人需要がウェアラブル市場の有力なドライバーとなっている」とし、製造業や建設業をはじめとした現場の法人需要が底堅いと分析している。
作業者が装着して肉体的な負担を減らし作業効率を上げると言われているアシストスーツについて富士経済は、17年度は世界で34億円、国内では31億円となり、25年度には現在の3倍超となる128億円、112億円まで拡大すると見込んでいる。
日本市場が需要の大半を占め、現在は介護やリハビリ関連の需要が主となっている。農業や物流の現場でも採用が増え、特に農業では地方自治体の導入助成金の対象になるとの期待から需要増加が見込まれる。製造業や物流、建設分野などでは人手不足や従業員の高齢化対策としてレンタルやリースでの導入が増加している。