2016年、17年と堅調な伸長を続けてきたFA関連機器の市場が踊り場に差し掛かっている。米中貿易戦争や中国市場の減速の影響が影を落とし始めているからだ。
一方、国内市場は昨年の好調の反動も最小限に抑えながら、働き方改革や人手不足などを背景に前年並みの状況をキープしている。
先行きへの不透明感は感じられるものの、人件費増と一体となった生産の自動化投資、IoTを絡めた情報化投資の意欲は国内外で根強く、踊り場からの再上昇の期待は高い。
輸出低調でアジアに停滞感
日本電機工業会(JEMA)の「産業用汎用電気機器の出荷実績」によると、18年度上期の出荷額は4392億円(前年同期比2.1%減)で、四半期ぶりの減少となっている。中国を中心としたアジア設備投資の活況が続いていたが、米中貿易戦争の影響によって停滞感が出始め、輸出を中心に低調な動きとなった。
製品別では、回転・駆動機器は1760億円で、ほぼ前年並みの0.7%減。配電・制御機器は6.2%減の1840億円となった。その他機器は5.1%増の792億円だった。
インテリジェントセンサ好調も、PLC海外伸び悩み
日本電気制御機器工業会(NECA)の18年度上期の制御機器の出荷総額(国内+輸出)は3551.7億円で、前年同期比で4.4%減となった。中国などアジア地域の苦戦が響いた。
国内出荷額は、前年同期比1.2%増の2098億4000万円と4期連続で100%を超えた。品目別では、操作用スイッチが147億2400万円(0.4%増)、検出用スイッチが358億8900万円(4.9%増)、制御用リレーが377億5400万円(4.8%増)、PLC/FAが803億円(0.7%増)とほぼ前年並み。
制御用専用装置だけが411億7600万円(3.8%減)と前年割れとなった。
伸びの大きかった品目は、非接触型検出用スイッチが5.1%増、FA・インテリジェントセンサが11.4%増、安全関連センサが8.5%増、リレーが5.3%増、安全関連リレーが4.2%増、グラフィック表示器が6.7%増となっている。
輸出出荷額は1453億2000万円で、11.6%減の大幅な減少となった。北米(6.7%増)とヨーロッパ(11.4%増)は堅調だったが、アジア・太平洋が21.0%減と大きくダウン。中国向けの7.4%減が大きく響いた。
品目別では、制御用リレーが488億300万円(2.8%増)で唯一前年を上回ったが、操作用スイッチが75億5300万円(14.6%減)、検出用スイッチが259億3200万円(0.7%減)、PLC/FAが476億1500万円(23.8%減)、制御用専用機器が154億2000万円(20.4%減)と苦戦した。
伸びの大きかった品目では、FA・インテリジェントセンサが12.1%増、安全関連センサが10%増、防爆機器が23.7%増、電源機器が21.9%増、安全関連制御用専用機器が22%増となった。一方で、スイッチ(10.6%減)、安全関連スイッチ(22.7%減)、PLC(30.8%減)、通信機器(21.6%減)、FAシステム機器(15.4%減)、安全関連PLC/FAシステム機器(21.1%減)、接続機器(33.7%減)、表示・監視機器(21%減)が2桁以上の大幅減少となった。
ロボット市場は過熱市場から適正な成長市場へ
日本ロボット工業会の「18年7-9月期(会員ベース)ロボット統計受注・生産・出荷実績」は、受注が台数で5万1180台と前年同期比で1.1%減と、12四半期ぶりのマイナスとなったものの、受注額は1848億円の3.7%増で、9四半期連続のプラスを維持している。出荷は、総出荷台数が5万1619台(8.2%減)で21四半期ぶりのマイナス。総出荷額は1861億円(5.0%減)となった。
数字上は前年比減少となっているものの、実際は昨年のロボット需要が想定以上の急拡大により部材不足が深刻化する状況であったこともあり、この成長は想定の範囲内という声もある。
国内について、出荷台数は1万1506台(9.6%増)、出荷額は480億円(0.7%減)。輸出は、出荷台数4万113台(12.3%減)、輸出額は1381億円(6.5%減)。電子部品実装用は4.3%減の3599台、1%減の575億円。
主要国が堅調だったが、中国向けが大幅減となり、トータルとして微減となった。溶接用は、21.3%減の8552台、18.6%減の217億円。主要輸出先であるアメリカを中心に減少、輸出台数、額ともに2桁減となった。