コンピュータ操作を自動化
ここ数年、コールセンターや事務作業をはじめ、定型作業をソフトウエア型のロボットで代行するRPA(ロボティックプロセスオートメーション)が話題を集めている。
RPAの採用は主に金融や保険などが先行しているが、製造業でも有効に使えるものなのか?
RPAとは?
RPAとは、これまで人が対応してきたコンピュータの操作をソフトウエア(ソフトウエア型ロボット)が代わりに行うことで効率化させるもの。例えば、発注担当者がこれを手入力で行っていたものを、その処理をすべてRPAツールで自動化する。
また、請求書処理について、これまで請求書データと発注データの突き合わせを経理担当社がすべて目視で行っていたものを代行するなどパソコンの定型作業が中心となる。
どう便利になるのか?
製造業での利用はどうなのか? 世界的なRPAメーカーKOFAXのCSOであるクリス・ハフ(Chris Huff)氏とセールスディレクター河上勝氏に聞いた。
KOFAXは1985年にアメリカで創業し、現在では30カ国1500人の従業員がいる世界的なRPAメーカー。VISAやING、ドミノピザ、アウディなどで採用され、日系企業でも三菱UFJ銀行が同社のRPAツールを採用している。パートナー企業もマイクロソフト、SAP、オラクル、富士通など世界に名だたる企業ばかり。自動化の波に乗り、業績も順調だという。
製造業における利用についてクリス氏は「製造業は多くのパートナー企業と巨大なネットワークを持ち、お互いに情報をシェアしながら業務を行っている。そのつながりは人同士のコミュニケーションやデータ入力して行われるものであり、その作業の部分はRPAにまかせられる」という。
河上氏はコピー機における遠隔監視と保守メンテ作業を例に挙げ、「お客さま先のコピー機のトナーの在庫が切れたら、メーカーは人手で在庫を確認し、配送を手配し、受発注処理を行う。この業務ひとつを取っても、受発注システム、在庫管理システム、配送システムなどいろいろなシステムにまたがり、それを人手で連携させている。これをRPAでつなげれば、自動で早く処理ができるようになる」と話す。
日本国内でのRPAは、マクロの自動実行やレポート作成、チャットボットみたいなものだとの認識が強いが、実際にはもっとさまざまな業務が代行できる。
例えば紙や文書で受け取ったデータ(非構造データ)をシステムで処理しやすい構造データに変換する処理や、その内容を精査して認証や査定をする処理、基幹システムや他のシステムと連携して自動で流し込む処理業務なども可能。
製造業では図面や手書きデータなど非構造データが多く、同社はそうした処理を得意とし、さらにBOMやERP連携にも優れ、図面のようなデータ処理も得意とのこと。3DCADで設計したデータを、製造や保守サービス、販売にいたるまでうまく活用していく流れに対して有効だとしている。