日本市場でシェア拡大、19年には拠点開設も
-Moxa社の概要を教えてください。
創業は1986年で今年32年目に入っている。本社は台湾と米国にあり、研究開発はほぼ台湾、セールスとマーケティングの拠点を米・カリフォルニアに置いている。欧州やアジアの支社を含め世界各地に120以上の代理店などを有しており、創業以来、5000万台以上のデバイスを世界各国に出荷してきた。
当社の強みは研究開発にある。品質検査や試験は自社で行っているが、組み立ては全てアウトソーシングで、約1000人の社員のうち35%が研究開発に携わっている。
製品はさまざまな産業分野で使用されており、工場はもちろん、鉄道、電力など、どの分野でも要求されている基準を満たす信頼性の高い製品を提供している。品質に自信があるため、主要製品の無償保証期間を5年間としている。
-注力している製品は。
当社が供給しているのはデバイスからデータを収集してクラウド、プラットフォームまで送る「コネクティブ」の部分で、主力製品はプロトコル変換器であるゲートウェイ、リモートI/O、産業用コンピュータの3製品になるが、注力しているのはITとOTのギャップを縮めるソリューションの提供だ。
ITとOTは、イーサネットやシリアル、Wi-Fiなどの物理的なコネクションだけでなく、データのフォーマットやプロトコルなどで全く異なる技術を使用しているため、両者をつなぐソフトウエアの開発にも力を入れている。お客さまがなるべく手を加える必要がない状態、買ってすぐ使える状態で提供できるよう努力を続けている。
-2017年度の実績は。
17年度の売上高は約350億円で、欧州、米国、中国、中国を除くアジア(ロシア、中東、オーストラリア含む)の4地域それぞれが25%ずつを占める。日本の売り上げは全体の5%程度で、最低でも10%は超えたい。
-日本での拠点開設を検討していますか。
19年下期に日本支社を設立する計画を立てている。今まで、日本語が堪能な人材が社内にいなかったのと、日本の代理店のマーケティングが優秀だったので、日本での拠点はあまり必要性を感じなかったが、IIoTを提供するには他社のエコシステムと連携する必要があり、現地法人なしでは難しいという認識を持っている。
また、日本のメーカーはサプライヤに対する要求が高く、信頼関係構築のためにも現地法人が必要だと考えている。日本に拠点を置くことで当社をよく知ってもらうとともに、日本の考え方、知恵を導入したい。
-事業部再編を進めている。
現在、「rethink connectibility」という社内活動を推進している。各デバイスがつながるのは当たり前だが、どのようなミドルウエア、ソフトウエアを使ってつなげるのか、お客さまの利便性をより向上させるにはどうするべきか。「“つなげる”を考え直す」という取り組みだ。
本年度、ゲートウェイとクラウドをつなぐソフトウエアを開発する部署を新設した。以前はスイッチ、ゲートウェイ、シリアル通信というように製品ごとの部署それぞれが個別に製品を売っていたが、お客さまがいま求めているのはソリューションだと思う。おのおのが持っている知恵を出し合い、ノウハウを共有できる組織に再編し、お客さまのニーズに応えられる体制を整えていきたい。