5G、次世代自動車、IoTなど
通信関連の伸び期待
日本電気計測器工業会(JEMIMA)は、2017年度の電気計測器の実績と18~22年度までの電気計測器の中期見通しを発表した。
電気計測器全体(国内売上と輸出)で6011億円(前年度比5.5%増)となり、18年度見通しは6173億円(同2.7%増)を見込む。19年度以降は微減となり、22年度には5834億円になると予測している。
■全体
5GやIoT需要がプラス
17年度は半導体関連や電子・電池材料を含む化学・医療分野の伸長、アメリカを始めとする設備投資の堅調な需要によって当初見込みを上回る前年度比5.5%増の6011億円となった。
18年度は世界経済が不透明ながら半導体関連や電子・電池材料を含む化学・医療分野が堅調と見ており、2.7%増の6173億円となる見通し。19年度以降は、スマートメータの取り換え特需がピークを過ぎた影響で年間平均成長率は1.4%減のマイナス成長となるが、一方で5GやIoT関連の設備投資などプラス材料もある。
また、国内売上と輸出、海外拠点を合わせた17年度実績は8018億円(前年度比4.8%増)となり、18年度見通しは同2.4%増となる8210億円となる見通し。19年度以降は緩やかに減少し、22年度には0.8%減の7955億円になると予測している。
■PA計測器
微増でほぼ横ばい
DCS(分散制御システム)や流量計、温度計、バルブポジショナなどPA計測器の17年度受注額実績は16年度比1.0%増の2314億円。うち民需は、医薬品や合成繊維向け需要、半導体関連投資が増加したが、電力分野での設備投資や調達コスト削減方針の影響で減少し、全体としては同1.7%減の1230億円となった。
官公需は、災害復旧や耐震化対策が優先されたため7.6%減の370億円。一方で輸出は同11.8%増の714億円と好調。中国やインドなど新興国のインフラ需要の拡大、アジアの半導体製造装置や化学分野向けの需要が増加した。
18年度以降について、全体では年間平均成長率0.2%増を見込み、18年度は2363億円、22年度には2378億円と予測。民需はほぼ横ばい、官公需は老朽化設備の更新と東京五輪投資により同0.8%増、輸出新興国向けインフラの持続で同0.5%増で進むと見ている。
■電気計測器
5Gと次世代自動車で追い風
オシロスコープやスペクトラムアナライザなど汎用測定器と、通信用測定器、エネルギー管理用測定器で構成される一般電気測定器は順調な拡大を見込む。10年前の09年度に900億円だったものが17年度は25%増の1106億円まで成長。18年度以降は環境性能に優れた電気自動車と5Gが牽引して年間平均4.1%で成長し、22年度には1374億円まで増える見通し。
18年度以降について、汎用測定器は自動車のコネクテッド化による計測需要の増加、同時計測のための多チャンネル測定、5G向け技術開発、センサやIoT、ウェアラブル端末等の市場拡大による実験や検証などを好材料とし、年間平均0.7%での成長を見込む。
通信用測定器は5G向け技術開発とネットワーク構築、自動車の車々間通信、路面と車間のV2X通信や車載Ethernet接続の採用、ネットワーク関連機器の需要増などで8.8%の成長率で急拡大する。エネルギー管理用測定器は、EVやPHV、FCVの開発や充電インフラの整備、WLTP対応、省エネ機器向けデバイス開発、エネルギーマネジメント需要の増加、非接触充電システムの技術開発などで年間平均成長率1.8%で進むと見られている。
■環境計測器
海外の環境規制で需要増も国内苦戦
環境計測器は大気汚染計測器と水質汚濁計測器を対象とし、騒音計・振動計、自動車公害測定器は統計の対象外。17年度は海外国内ともに設備投資が旺盛で、前年度比20.4%増の96億円と急拡大。うち水質汚濁計測器が同28.8%増の58億円、大気汚染計測器が9.2%増の37億円といずれも好調だった。
18年度以降について、中国とASEAN、インドの環境規制の強化で需要が増加するが、国内が20年の東京五輪後の設備投資と公共事業費の減少となり、年間平均成長率0.3%の微増傾向の見通し、18年度は97億円、22年は98億円になると予測している。うち水質汚濁計測器は同0.2%減、大気汚染計測器が1.1%増で進むと見られている。