日本電機工業会 会長 柵山 正樹
新年、あけましておめでとうございます。経済産業省をはじめ、関係省庁、関連団体、会員の皆様には、日ごろより当工業会の活動に多大なるご支援、ご尽力を頂き、心より御礼申し上げます。2019年の年頭にあたり、謹んで所感を申し上げます。
昨年は、初の米朝首脳会談が行われた一方で、米中貿易摩擦や英国のEU離脱交渉の難航をはじめ、政治的な不安定要素が増加する等、世界的に大きな動きのあった年でした。世界経済は、全体として緩やかな回復基調が継続しました。中国やユーロ圏はやや減速が見られましたが、米国は着実に回復が続き、景気は持ち直しの動きが継続しました。
わが国経済は、世界経済の回復を受け堅調であり、企業活動の持ち直しが続いております。昨年9月には日米物品貿易協定の交渉開始が合意され、12月には日本が主導するTPP11が発効される等、幅広い分野での経済連携が進みました。その一方で、米中貿易摩擦が及ぼす経済への影響等、不確実性の高まりには注意が必要と思われます。
このような中、重電機器と白物家電機器を合わせた18年度上期生産実績は、2兆7908億円、前年同期比101.3%で堅調に推移しております。
さて、JEMAは、わが国電機産業の持続的発展に向け、引続き、「電機業界の持続的成長戦略の推進」「エネルギー・環境革新戦略の推進」「新たなものづくり、サービス産業の創出の推進」の3点を重点項目として活動を推進して参ります。
まず「電機業界の持続的成長戦略の推進」については、わが国が目指すSociety5.0の実現に向けて、電機業界としても議論を深め、積極的に推進することで、社会課題の解決と会員企業の持続的成長につなげて参ります。
今年はモーターシステムの省エネに関して、最も権威のある国際会議「eemods(イーモッズ)」が、東京で9月に開催されます。この分野でJEMAはこれまでも国際標準化や省エネ政策への提言を積極的に推進してきておりますが、今回の開催成功に向けてJEMA組織委員会を立ち上げ、積極的に貢献して参ります。
次に「エネルギー・環境革新戦略の推進」についてですが、エネルギーの供給と消費の両面から貢献していくことがJEMAの果たすべき役割と認識しております。昨年の第5次エネルギー基本計画策定時においては、再生可能エネルギー拡大の必要性や、それに伴う送配電等のシステム構築の必要性、重要なベースロード電源と位置付ける原子力発電の再構築等について、提言を行いました。
原子力発電については、ご承知の通り、更なる安全を目指し、関係団体とともに原子力エネルギー協議会(ATENA)を発足し、原子力発電所の安全性を更に高い水準へ上げるべく尽力していく所存です。
更に、再生可能エネルギーの導入拡大や火力発電の高効率化、HEMSやVPP(バーチャル・パワープラント)等への取組みも推進して参ります。
最後に、「新たなものづくり、サービス産業の創出の推進」については、日本の強みである製造現場のデータをはじめとした様々なデータがつながり、有効活用されることで、生産性の向上や新たな付加価値が創出されるConnected Industriesの実現に向けて、活動を展開して参ります。
今年は、前回までのシステムコントロールフェアからInnovative Industry Fair for ExE Solutions:IIFES(アイアイフェス)と名称を変更し、11月27日から3日間、会場を大幅に拡大して、第1回となる「IIFES2019」を開催します。IoT関連製品や技術、サービスを展示、まさにConnected Industriesを具現化する展示会となります。
更に、昨年5月には、IoTによる製造業の変革に関する提言書『2017年度版製造業2030』を公表し、スマートマニュファクチャリングへの取り組みについても、着実に推進しております。今後もIoTによる製造業の革新に対して、電機産業ひいては製造業の将来像を示しながらリーダーシップを発揮して参ります。
さて、今後、日本では国際的なイベントが相次いで開催されます。9月から11月には、ラグビーワールドカップが、翌20年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。更に昨年11月には、25年の大阪万国博覧会の開催も決定致しました。これらの大きなイベントも好材料に、景気回復の継続を期待するとともに、JEMAとしても電機産業のプレゼンスを高めていく機会にしていきたいと存じます。
昨年JEMAは、創立70周年という節目の年でありましたが、今後も、電機業界並びにJEMA会員企業への貢献に向けた活動を一層取り組んでいく所存です。
最後になりますが、この一年の皆様方のご発展と一層のご活躍を祈念致しまして、私の新年のご挨拶とさせて頂きます。本年もどうぞよろしくお願い致します。