【2019年 年頭所感】電子情報技術産業協会、新たなビジネス創出を促す

電子情報技術産業協会 会長 柵山 正樹

年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は当協会にとって、ここ数年の変革をさらに進めた1年でした。2017年に会員制度に関する定款を変更し、IT・エレクトロニクス業界のメーカーに限らず、IoTに密接に関係する企業に会員の門戸を拡げました。会員数はここ数年、右肩上がりに増加しています。

当協会は、高度な情報利活用によって新たな価値を生み、社会全体の最適化がもたらされる、世界に先駆けた超スマート社会の実現「Society 5.0」の推進を事業指針として掲げ、電子部品、電子デバイス、電子機器、IT・ソリューションサービスなどを中核として、あらゆる産業をつなぎ、業種・業界を越えて社会課題に向き合う課題解決型の業界団体を目指し、本年も精力的に事業に取り組んでまいります。

具体的な取り組みの一つが、17年に発足させたスマートホーム部会です。会員企業はもちろんのこと、住宅や住宅設備、電機、通信など他の業界団体とも連携して、データを共有・活用するための取り組みを進めています。スマートホームは宅内外のあらゆる機器・住宅設備・サービスが連携することで初めて実現するものです。業界を越えた連携を進めるにあたり、現在、その枠組みとなる、機器・住宅設備・サービス提供事業者が共通で活用できるデータカタログの構築を進めています。

一方で、Society 5.0は製造業のみならず、サービス産業である小売りや観光なども含め、さまざまな産業が連携することで、個人の暮らしをより豊かにする未来を実現するものです。業種の垣根を越えた連携が披露される場、あらゆる産業による「共創する未来」を発信する場が、当協会が主催している「CEATEC JAPAN」です。家電見本市の枠を越えた、「CPSとIoTをテーマとするSociety 5.0の展示会」として生まれ変わったCEATECには、IT・エレクトロニクス業界だけにとどまらず、さまざまな産業・業種の出展企業から、データ連携・利活用によって社会課題を解決する、革新的なソリューションサービスの提案や新たなビジネスモデルの披露が相次いでいます。

そして本年、CEATECは20周年を迎えます。テクノロジーは急速に発展していきますが、CEATECはこれからも、テクノロジーを見せる展示会ではなく、テクノロジーで社会をどう変えていきたいのかを発信する展示会として、豊かな社会の未来を描けるよう、取り組んでまいります。「CEATEC 2019」は、10月15日から18日の4日間、幕張メッセにて開催予定です。

共創の対象は他の産業とだけではありません。特に重視しているのがベンチャー企業との共創です。2015年度より「JEITAベンチャー賞」を開始して、優良ベンチャーを表彰するとともに、受賞企業が当協会の事業に参画しやすいよう「ベンチャー優遇特例制度」を創設して、会員企業との共創・連携・エコシステムの構築を支援してきました。

さらにJEITAベンチャー賞受賞企業などからの提案に基づき、新たな事業に取り組む企業や団体を支援するための仕組み、「JEITA共創プログラム」を昨年新設しました。新たな市場創出に繋がる取り組みを今後も推進してまいります。

激しい国際競争の中にある当業界においては、新たなイノベーションや付加価値を生み出し、国際社会でリーダーシップを取っていくための事業環境整備も極めて重要です。Society 5.0の実現に欠かせないデータ利活用については、個人情報保護との両立を図るとともに、国際的に整合性のあるルール整備に取り組んでいます。

また、保護主義の拡大阻止と越境データ流通の自由化を目指す活動も重要です。当協会は引き続き、米国や欧州などの産業界や政府と積極的に連携し、日本企業の国際競争力向上に資する事業環境整備に取り組んでまいります。

2020年、そしてその先の未来に向けて、当協会は産業と産業のつなぎ役として、新たなビジネス創出を促すことで、SDGsをはじめとする社会課題を解決し、世界に先駆けた超スマート社会:Society 5.0の実現とともに、日本経済のさらなる活性化に貢献していきたいと考えております。政府をはじめ関係各所と密に連携しながら、会員の皆様とともに、積極的に事業を推進してまいります。

19年がわが国のさらなる飛躍の年になることを心より祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

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