半導体 「ICAC5」市場が急拡大
FPD 中国の大型パネル投資好調
日本半導体製造装置協会(SEAJ)は、2018年度から20年度までの3年間の日本製半導体製造装置の需要予測を発表した。半導体製造装置・FPD製造装置ともに18年度に大きく伸びるが、19年度に反動減少となり、20年度は成長軌道に回復する見込み。
結果、半導体製造装置は20年度に2兆4407億円、FPD製造装置は4800億円と予測。20年度は両装置合計で2兆9207億円となり、過去最高が期待される。
PC・スマホ依存から脱却が進む半導体産業
半導体はこれまでPCやスマートフォンが牽引するシングルドライバーだったが、近年はIoT、クラウド、AI/ディープラーニング、自動運転など車載向け半導体、5Gのいわゆる「ICAC5」と呼ばれる市場が急成長し、マルチドライバーで複数のアプリケーションが牽引する重層的な広がりになると予測されている。
WSTSの18年秋期予測によると、18年の世界半導体市場は全体で15.9%増となり、春季予測の12.4%増から上方修正となるなど好調。メモリが牽引役となるが、それも19年には0.3%減とマイナス成長に転じ、市場全体でも2.6%増と減速傾向になると予測。19年後半にはメモリ需給が改善し、20年には装置需要が回復すると見られている。
日本製半導体製造装置
18好調、19減速、20回復
18年度前半は3D-NANDに加えてDRAMに投資の重心が移行し、メモリメーカーの大型投資が継続し、前年度比11.1%増の2兆2696億円と予測。19年度は、前半はメモリメーカーの投資姿勢は慎重が続き、0.5%像の2兆2810億円。20年度は装置需要の回復を期待して7.0%増の2兆4407億円と予測した。
日本市場における半導体製造装置の販売高は、18年度は3D-NANDとDRAM、イメージセンサ向けに投資が継続して19.8%増の9748億円と予測。19年度は横ばいの9748億円、20年度は積極的な投資姿勢に戻ると見て1兆430億円と見込んでいる。
日本市場で1兆円を超えるのは、07年以来13年ぶりとなる。
中国の大型LCD基板投資本格化。OLED投資は停滞
FPD産業は、17年4~6月の平均10%をピークに、韓国・台湾・日本の大手パネルメーカーの営業利益率は低下が続いてきたが、18年4-6月を底に下げ止まり傾向に。
中小型パネル市場は、18年初頭よりスマートフォンのOLEL(有機EL)化が進むと思われたが、高価格がネックとなり苦戦。中小型パネルのOLEDは、韓国の既存工場の生産能力で相当部分の供給が可能となっている。
大型パネル市場は、18年から中国でG10・5基板の投資が本格化。18年度前半は9月までの実績値で対前年比約20%増となっている。19年もG10・5LCDの投資は継続されるが、G6OLEDの新工場投資は中国が中心となり、韓国の投資は全体的に延期傾向が継続。19年度は減少率が16.7%減と大きくなっている。
FPD装置市場全体については慎重な見方となっているが、18年度が大きく上方修正したこともあり、20年度までの3年間合計値は前回発表時より増えている。
日本製FPD製造装置、20年度に有機EL向け期待
18年度は、前年比9.8%増の5400億円と予測。韓国市場を中心としたG6基板OLED投資の延期による減少を、中国のG10・5基板LCD投資の増加が大きく上回る。
19年度は、18年度の上方修正の反動もあって16.7%減の4500億円。20年度はOLED投資の復活タイミングと見て、6.7%増の4800億円と見込んでいる。
SEAJ短観 半年先は景気悪化も、1年先に持ち直す
またSEAJは正会員各社から直近、半年、1年先の景気動向を聞くSEAJ短観の12月調査分を発表した。直近はプラス17で景気は良い状態にあるが、半年先はマイナス22で景気は悪化傾向に入るが、1年先はプラス17と回復するだろうと半導体製造装置メーカー各社は予想している。