メーカーと販売店の会合体会議
3つの趣旨で意思統一を
メーカーの営業会議と販売店の営業会議では、同じ営業という仕事でも内容はずいぶん違う。メーカーの営業には生産部門が深く関わってくるが、販売店営業ではメーカーの営業部門との関わりだから同じ者同士の会議になる。
メーカー営業は生産部門との関わりがあるため、より戦略的な内容の会議も頻繁に行う。販売店営業はメーカー営業との関わりが多いため、より戦術的な会議になる傾向がある。販売店の営業会議は昔も今も大きな変わりはないが、メーカーの営業会議はずいぶん変わってきた。商品別・業種別という専門性を取っているからだ。生産の各部門と営業の各部門が擦り合わせの会議を開くため、会議がどうしても多くなる。
かつて行っていたメーカーの営業会議は、個人の商談報告や売上達成度、反省などを発表し、上司からの指導あり、作戦ありの会議であったが、現在はプロジェクターを使って各部門との擦り合わせの内容や売上の結果の数字を伝達するのが主である。営業マンからの発言はトピックスの発表くらいなものであって上司の指導を仰ぐ発言はそれほど活発でないようだ。
販売店が独自でやる営業会議は、目標に対する活動報告や達成への意気込みの発表で、昔も今もあまり違いはないが、メーカーとの営業会議は昔と今では違っているようだ。
かつてのメーカーとの営業会議は、新商品拡販・戦略商品拡販やカタログ敷き詰め、サンプル配布、アプリケーション探索・特定業界情報探索などと言ったテーマがあって、メーカー営業がリーダー的存在感をもって一つのチームのような雰囲気を持った会議であった。
現在では、競合商品との差異やどこに売れるかを含めた商品の技術的説明や新商品・戦略商品の拡販依頼が主である。従としてはメーカー側の各種の変更点の伝達、販売店側の商談の状況やトピックスの発表が一般的のようだ。
会議という言葉が広く使われるようになったのは、学校の教科書にある明治政府の出した五箇条御誓文からである。「広く会議を興し万機公論に決すべし」は多くの人が空で言うことのできる文言であった。会議の本分は、組織の構成員が一堂に会して意見を述べ情報を交換し合って決すべしということである。
昨今、営業マンの間で交わされる会話で「会議が多い」とか「会議が長い」などがあいさつ代わりに使われる。このような会話からうかがえるように、営業マンの持っている会議のイメージは組織上の命令・情報の伝達を長々とやることだし、一堂に会しての討議のイメージがないから、上層部の方針や情報の伝達に対しても疑問や核心をつく質問はなされない。
メーカーと販売店の会合体は同じ営業職ではあるが、モノ造りを背景にもつメーカー営業と顧客を前面にもつ販売店営業の違いがある。従って、なかなか討議するようなテーマで会合体は運営できない。メーカーと販売店の会合体はそれぞれの違いのために意思疎通を計ることが主となる。
メーカーと販売店の会合体は三種類ある。一つは戦略会議であり、メーカーと販売店経営側との意思の統合である。
二つは戦術会議である。メーカーの担当営業と販売店の実働部隊との会議である。主として売上拡大のための作戦行動やキャンペーンに関することであり、目標達成のためにメーカーと販売店の役割・行動スケジュールを話し合う。
三つは戦闘会議である。日常の営業活動から挙がってくる情報や商談に関して迅速に解決するため、担当者や上司参加の都度の打ち合わせのことである。
以上の三つの会議の趣旨を理解し実施することが、ディーラーヘルプ活動なのである。