基礎から学ぶ中国工場管理〜実例で学ぶ管理のポイント〜 (16)

品質管理-中国工場の品質がよくないのはなぜか-(その2)
中国工場の問題点を生産の3要素で捉える①

育成なしには人材育たない

生産の3要素のMan(人)について考えています。

前回までは、作業者について見ていきました。今回からは、管理者と経営層について詳しく見ていくことにします。

管理者

中国工場でいう管理者とは、現場の班長さんや科長さんのことです。まず班長(組長)さんから見ていきます。

班長(組長)

班長・組長は現場を指揮管理しているという観点から、工場の品質を左右するキーパーソンといえます。自社製品のQCDレベルは、班長・組長のレベルによって決まると言ってもよいでしょう。

多くの工場では、優秀な作業者の中から班長・組長を抜擢しているのが実状です。もちろん選ばれた人たちなのでそれなりに優秀で、教えたことは覚えてくれます。

しかし、そこまでなのです。どういうことかというと、「教えたこと以上のことはできない、また、自分から学んでいくことは望めないし、期待してはいけない」、つまり教えたことの範囲が班長・組長のできる仕事の範囲になるということなのです。

従って、班長・組長にしっかり仕事をしてほしいのであれば、ちゃんと教育することが必要です。放っておいて勝手に育つということはなく、育成しなければこれら人材は育たないので、育成する仕組みが必要となります。

 

例えば、もともと作業者でしたから作業のことはよくわかっていますし、新人に対して作業指導することもできるでしょう。しかし、作業者をどのように管理するかはわかりません。管理者になったからと言って、すぐにマネジメントができるかと言えば、そんなことはありません。

作業者に対して、どのような指示の仕方をしたら従ってくれるのか、作業者はなぜルールを守らないのかなど考えたこともないでしょう。

また、作業者に教育することもその役割となります。そのためには、教育する内容に関して自分がしっかり理解していなくてはなりません。こうしたことも班長・組長に教えていくことが必要です。

加えて、仕事や品質に対する意識を高く持って、作業者に対して模範となってもらうことも大事なことです。そうした意識付けもやはり意図して教育していくことが必要です。

きちんと教育された管理者(班長・組長)を持つことが、工場のレベルアップにとって必要不可欠な要素と認識していただきたいと思います。

次回は、科長について見ていきます。

 

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◆根本隆吉
KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント。電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導および品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走。著書に「こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善〈虎の巻〉」(日刊工業新聞社)など

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