矢野経済研究所は、国内のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)市場の将来展望を明らかにした。
RPAは、バックオフィスや間接部門の業務を、ソフトウエアロボットが文章や画像、音声などを認識することで、これまで人が行なっていた単純作業、もしくはそれ以上に高度な作業を人に代わって処理できるもの。RPAの活用によって、生産性・品質向上、人的資源の再細分化、業務の標準化などが期待されている。
同研究所では、2018年度の国内RPA市場規模は418億円で、前年度比34.8%増と予測。カテゴリー別では、RPAツール製品は135億円で前年度比64.7%増、RPA関連サービスは283億円で22.8%増と見込んでいる。
18年の上半期は、働き方改革推進が追い風となり、RPAブームともいう盛り上がりをみせ、大手や中堅のユーザー企業を中心にRPAの導入が増加。下半期は、RPAに対して過度な期待をもったユーザー企業が、導入後に失望感を感じたケースが散見され、導入における課題やリスクが認識されるようになった。
16年から17年ごろでは、最適な製品選定や自動化対象の業務の選定など、実現難易度が低いニーズが過半だったが、今後は投資効果の可視化、組織運営や業績向上に直結する成果、高度なコンサルティング能力などを提供事業者に求めるユーザー企業が増加していくとみられている。
19年度以降も大手ユーザー企業の全社展開や海外拠点への展開、中堅・中小企業への導入が進む見込みだが、RPAツール製品は価格競争により単価が下落していき、コンサルティングや運用保守サービスの拡大によりRPA関連サービスの伸び率は高くなると予測。
22年度の国内RPA市場規模は、17年度比で約4.5倍の802億7000万円まで拡大すると予測し、RPAツール製品は170億2000万円、RPA関連サービスは632億5000万円に成長する見通し。