日本産業機械工業会が発表した2019年度の産業機械の受注見通しは、内需・外需合わせて対前年度比3.4%増の5兆4013億円を見込んでいる。
内需は、製造業の設備投資が高水準を維持し、対前年度比1.7%増の3兆4712億円。民需は、中国等の景気減速やIT・半導体関連需要の減少を背景に輸出産業の設備投資に慎重さが増しており、特にプラスチック加工機械等の受注環境への影響が大きい。しかしながら、製造業から非製造業まで、国内の多くの産業では人手不足対応の設備投資が急務となっていることから、工場の自動化、高効率化に加え、高付加価値製品の生産能力増強に向け、幅広い産業機械の需要が緩やかに増加していくものと見込んでいる。
電力向け火力発電設備については受注環境の厳しい状況が続いているが、老朽化対策や高効率化、燃料転換等のニーズに対応していくことで、前年度を底として、緩やかに回復していくものと見込む。
官公需については前年度並みとなり、自然災害に対する防災・減災など、国土強靱化に関する需要が緩やかに増加するものの、水質汚濁防止装置やごみ処理装置といった環境装置の更新需要がやや減少すると見込んだ。
一方外需は、中国経済の減速等を背景に前年度に比べ伸びが鈍化し、対前年度比6.6%増の1兆9301億円と見込んでいる。
受注環境が好転しつつあるオイル&ガス関連については、大型プロジェクトの成約数が増加するとみられることから、化学機械やタンク、ポンプ、圧縮機等の需要増が続くものと見込み、製鉄機械についても、東南アジアや北アメリカを始めとする鉄鋼需要の拡大を背景にした鉄鋼各社の設備投資水準の回復により前年度を上回るものと見込んでいる。
また、世界的な石炭火力からの投資引き上げの動きがある中、火力発電関連については、急速な回復は見込みがたいものの、計画中の大型発電設備が予定どおり成約され、さらに天然ガスへの燃料転換や老朽化対策等の更新需要が緩やかに回復してことで、前年度を上回るものと見込んでいる。
他方、中国でのスマートフォン関連の需要減速の影響により、部材の製造に欠かせないプラスチック加工機械や搬送システム等の運搬機械、高級素材を生み出す化学機械、水処理装置、ポンプ、圧縮機、送風機、工場の熱・エネルギー源であるボイラ・原動機等、さまざまな産業機械の需要減につながる可能性があり、特に前年度が好調に推移していた年度前半は多くの機種の需要の伸びを鈍化させるものと見込んでいる。