三菱電機は、4月17日から19日まで幕張メッセで行われたテクノフロンティア・モータ制御技術展に、センサレス(エンコーダレス)で高精度な位置決めと速度制御ができる新型のPMモータ(磁石モータ)「EM-Aシリーズ」を出品。
小型化と国際高効率規格IE5も達成し、国内・海外向け装置での利用にメリットを生む画期的な製品で、一部のラインアップを4月から発売する予定だ。
輸出向けに最適
同製品は、独自開発の突極形コアを採用し、回転位置に応じてインダクタンスが変化する特性を持つ。その変化を把握して、同社が特許を持つセンサレス制御と組み合わせて高精度な速度や位置決め制御を実現。速度制御はサーボモータに迫る性能で、速度変動率は±0.05%、最大トルク200%。高精度・速度制御が求められる半導体や液晶製造ラインでも使える性能を持つ。位置決めも、エンコーダレスで200p/revの精度で制御できる。
最大の強みは「小型化」と「省エネ」。サイズは、誘導モータに対して体積比で50~60%少なくなり、重さも30~50%減。省エネについても、モータの国際高効率規格で最高クラスのIE5をクリアしている。
対象アプリケーションは、省エネへの関心度が高いポンプやコンプレッサ、ファンなどビル設備やファシリティ関連が最大のターゲット。インダクションモータが使われているケースが多く、その置き換えを狙いたいとしている。また搬送装置、工作機械など製造装置でもサーボモータの置き換えニーズも視野に入れている。
また世界各国ではモータの高効率規制の認証制度があり、輸出向け装置への組み込み用途にも大きなメリットがあるという。三相誘導モータの場合、各国の規格を満たしている必要があり、アメリカや中国をはじめ、世界中の国がIE2またはIE3以上のモータであることを求めている。
同製品は、そもそもこうした認証取得が不要な磁石モータである上、各国が求めるレベル以上のIE5を達成しており、「輸出する際に非常に有利」(同社)という。価格も三相誘導モータとほぼ同等となる見込みで、輸出向け装置に使う場合、認証取得コストと手間を含めると同製品の方が有利。グローバルに展開するのに適しているとしている。
製品ラインアップは、0.1kW、0.2kW、0.4kW、0.75kWは4月発売予定。1.5kWと2.2kWは夏ごろ。最大7.5kWまで容量を増やしていく計画があるという。
販売目標は、19年上期で1万台、年間で2.3万台まで伸ばしたいとし、すでに決まっている案件もあるという。