ニーズ高まるAI画像処理
安川情報システムから社名を変更したYE Digital(ワイ・イー・デジタル)は、FA系を中心とする製造業と現場で培ったIT技術を生かし、他分野への応用・展開を進めている。
そのひとつである「MM Eye」は、画像処理と独自開発のAI「Paradigm」を組み合わせた自動の画像判別ソリューション。クラウドでAIのモデルの作成と管理、追加学習をし、エッジ端末に組み込んだAIによって現場で合否判断を下す。
AIのモデル作成はユーザー自らによる作成も、同社にまかせることも可能。パッケージを入れるだけで使えるので、AIや画像処理の専門知識がいらずに利用できるのが特長だ。
アプリケーションは、ロボットによる部品ピッキングや食品製造業における不良判定、車両認識による駐車場の空き状況の判定などに使われている。
例えばクッキー製造の検査工程では、焼き具合や焦げ、欠け、割れ、削れ、ヒビなど良品と不良品の判定基準が多岐にわたり、数値化が難しく、しきい値で表現できないので自動化が難しいとされていた。それに対し同社は、正解画像を元にしたAI検査でそれを解決している。
またプラントやプロセス製造業では、昔ながらの目盛りによるアナログ計器が数多く使われており、このIoT化も課題の一つとも言われる。アナログ計器の耐用年数は長く、デジタルへの置き換えにも莫大なコストがかかる。
この課題に対して同社は、乾電池駆動で配線がいらず、IP65対応の超長寿命・防水防塵使用の無線小型HDカメラ「LOSIX」をアナログ計器の前に取り付けて画像を撮影し、それをクラウドに蓄積してAIで分析。アナログ計器のデジタル監視と最適制御を実現している。LOSIXカメラは安くて小さく、「1つの拠点に複数設置でき、インフラや遠隔地でも使える」(同社)としている。
IoTが進展するなか、最近は数値データに加え、その場で何が起こっているかを実際の画像で見たいというニーズが高まっている。同社も「いま画像処理がとても伸びている。当社はそれにAIを組み合わせ、エンジニアリング系や装置データの活用提案を進めていく。さまざまなデータでAIを組み合わせるwith AIに力を入れたい」としている。