ABBロボティクスは、中国・上海汽車(SAIC)とフォルクスワーゲンの合弁会社であるSAICフォルクスワーゲンの次世代エネルギー車の上海新工場に、静岡県島田市のABBテクニカルセンターで開発・製造した塗装ソリューションを提供したと発表した。新工場は年間30万台の電気自動車の生産能力があり、約300台のロボットで構成されたソリューションを提供する。
上海の新工場は61万平方メートルに、約170億人民元(2800億円)を投じて建設される。2020年にはアウディ、フォルクスワーゲン、スコダブランドの電気自動車を年間30万台製造して出荷する予定となっている。
ABBは塗装工程の3つの自動塗装生産ラインに約300台のロボットを設置し、自動車の外装および内板塗装、車体下塗装、内装化粧シームシーリングおよび内装プレートのワックススプレーを含む、塗装とシーリングソリューションを提供する。
ロボットの急加速、塗装機の大流量で微調整の対応能力、同社のエンジニアリングサービスの経験を組み合わせ、3つの塗装生産ラインの合計サイクルタイムは、単一の塗装工場で最も速い120ジョブ/時を実現。さらに、すべてのロボットは、ABB ABilityデジタルソリューションに接続し、将来のデジタル化への対応も可能としている。
また塗装工程の環境負荷の低減にも貢献。水性塗料による塗装プロセスで環境制限を満たし、プライマーレス塗装技術によって塗料利用率を改善し、廃棄物を低減。
そのほか、空気を循環させて石灰石に噴霧を吸収させるドライスプレー吸収方式を採用。
約95%の空気を再使用でき、石灰石もリサイクルし、60%までのエネルギー節約につなげている。揮発性有機化合物(VOC)の放出も63%減少させる。