リコーは、米中貿易摩擦によって今後起こりうるリスク回避のため、複合機の量産拠点である中国とタイでの製品仕向け地を見直し、米国向け主要複合機の生産をタイに移管することを決めた。
同社はこれまでグローバル生産戦略の一環としてBCP対策の強化に取り組み、主要複合機に関する複数拠点での並行生産を進めている。部品共通化や最適なサプライチェーンの構築に取り組んできたことで、今回のタイへの生産移管は約2カ月で完了する予定。また、移管後もグローバル全体および中国、タイ両拠点での生産量に大きな変動はないとしている。
今回の決定は、米国が中国への制裁関税措置「第4弾」として、関税の引き上げ対象をほぼすべての中国輸入製品に広げると発表したことを受けたもので、製品仕向け地の見直しにより、関税引き上げの影響を最小限にすることを目的としたもの。
具体的には、これまで主要複合機の高速モデルの生産を中華人民共和国・広東省深セン市のRicoh Asia Industry (Shenzhen) 、中速および低速モデルの生産をタイ王国・ラヨーン県のRicoh Manufacturing (Thailand) が行っていた体制を見直し、製品仕向け地によって生産拠点をわける。これにより主要複合機の米国向けはRicoh Manufacturing (Thailand) が生産することになる。
リコーは今後、主要複合機以外の品目についても、タイから中国への移管も含め、順次生産体制を見直し、グローバル生産戦略のもと、さまざまなリスクへの対応と効率化の両立を目指すとしている。