中国工場での品質管理の進め方 ~品質管理3つの歯車~③
教育の充実で管理レベル向上を
中国工場のABC
中国工場の管理/品質管理をかみ砕いて言うと、これになります。
これはちょっとした語呂合わせですが、中国工場はこれがすべてと言っても過言ではありません。
A-当たり前のことを
B-バカみたいに
C-ちゃんとやる
要するに当たり前のことがちゃんとできていればそうそう問題は起きないわけです。その当たり前のことをバカみたいに愚直にやる、これが大事なのです。この当たり前のことができていないのが中国工場の現実です。
みなさんもこのABCを頭に入れて、自社工場を見直してみてください。
さて、工場の中で当たり前のことを日々実践しなくてはならないのは誰でしょうか?
それは、工場のトップではなく、現場の管理者であり作業者ですね。このことからも現場の管理者や作業者への教育がいかに重要かわかっていただけると思います。
中国工場での品質改善の順序
品質改善を進めるときに多くの方は、「工程の作り込みで不良の発生をなくすことに取り組む」と言います。間違ってはいないのですが、中国工場の場合、必ずしもそうではないと考えています。
品質改善は、次の2つの視点から見る必要があります。
①不良の流出を止める
②不良の発生をなくす
①不良の流出を止める
顧客視点では、非常に重要なことです。こちらでいくら不良を作ってしまったとしても、その不良品を顧客に出荷しなければクレームになることはありません。顧客からすれば表面上は優良な取引先ということになります。
ぶっちゃけた話ですが、顧客の本音部分として、購入先の工場でいくら不良が出ようが、自分のところに良品だけを納入してくれればそれでよしという思いがあります。
ただし、それではこちらの工場は不良品であふれることになります。しかし、目の前で不良品が山となれば、それを減らそうと考えるのが自然です。不良を流出させていると、工場には不良品がたまらないので、工場の人間が不良を作っていることに気が付かないことが問題なのです。
②不良の発生をなくす
これが工程の作り込みで、本質的なことですので、必ず取り組まなくてはなりません。不良の発生自体を減らせれば、流出も減ることになります。
このどちらを優先するかは、工場のレベルによって決まるものと考えています。
顧客クレームが頻発しているような工場では、不良の流出を止めることが優先されます。顧客クレームが頻発していては、その対応に追われ本来やるべき業務に手が付かない状態になります。顧客クレームが起きるということは、工場で不良が発生し、それを流出させてしまったということです。まずは、不良の流出を止めて、顧客の信頼を取り戻し、その後に不良発生をなくすことに取り組むのが正しい順序であると言えます。
顧客クレームが少ない工場では、工程改善などで不良の発生をさらに減らすとともに、生産性向上などの課題に取り組んでいけばよいのです。
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◆根本隆吉
KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント。電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導および品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走。著書に「こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善〈虎の巻〉」(日刊工業新聞社)など。