東芝グループは「つくる つなぐ つづく」をコンセプトに、電源設備や照明設備、計測機器の展示やサービスなどを紹介。
プレゼンステージでは自社開発のリチウムイオン蓄電池SCiBを応用した電源設備や長期間使用するために開発した診断技術など、ユーザーのニーズに応える新たな製品やサービスを魔法使いに扮したナレーターが紹介しており、連日注目を集めていた。
更新時の作業効率化を実現したプラグイン形UPS
UPS(無停電電源装置)は、電力会社の電源が停電した時に、データセンターのサーバーなどの重要負荷設備へ途切れることなく電源を安定に供給する装置である。
このUPSを老朽化などで更新する場合は、負荷設備への電源ケーブルの切換、配線作業や更新するためのスペースが必要となり、多大な労力を要していた。この問題を解決するために考えられたのが、東芝インフラシステムズが開発した「プラグイン形UPS」だ。
UPS本体のみ更新可能
プラグイン形UPSは、UPSをUPS本体と電源ケーブルが接続される外線端子盤に分けることで、負荷設備への電源ケーブルを切り離すことなくUPS本体を容易に引出・挿入できる構造となっている。
また、前面の保守スペースや通路などで新旧UPSの交換が可能なため、同一場所での更新が可能となり更新スペースを省略できることが特長である。
プラグイン形UPSを採用することで、一般的なUPSの更新作業に数週間掛かっていた更新工事が2~3日に短縮でき、課題となっていたUPS更新工事の効率化を実現した。
スマートで簡単施工の無線調光システム
もう一つが東芝ライテックの簡易無線調光システムだ。LED本体に無線制御システムを搭載し、自律型のネットワークで1台ずつ調光制御ができる。調光をすると約30%の節電になると言われ、蛍光灯からLEDに交換し、調光まで行うと蛍光灯に比べて約80%も省エネになるという。
これまでも調光機能を備えたLED照明システムはあったが、親機から各LEDに指示を出す中央制御だった。
それに対し同社の簡易無線調光システムは機器間通信で個別に制御が可能。そのため天井に機器を取り付けるだけで工事は完成し、ネットワーク設定はリモコンで簡単にできる。専門的な知識はほとんどいらず、蛍光灯を変えるのとほぼ同じ手順でできるのは大きな魅力だ。
ビルオーナー・テナントの両方に利益をもたらす画期的構造
店舗やビル、家庭のLED化率について既設ビルでは20%程度。新設ビルでも50%ほどと言われている。
照明器具を取り付けて管理するのはビルオーナーだが、電気代を支払うのは各テナント。テナントは電気代を減らせるLEDにしたいが、ビルオーナーは今ある蛍光灯が使えなくなるまで交換は不要だと考えている。お互いの利益が食い違うため、特に既設ビルではなかなかLED化が進んでいかない。しかし同社によると、簡易無線調光システムはそうした違いも吸収できるという。
通常、ビルはテナントが変わるとフロアのレイアウトが変わり、照明システムを再び構築し直す必要がある。そうなると工事費がかかる上、入居までの時間もかかり、多くの出費が発生する。
しかし簡易無線調光システムの場合、すべてのLEDが独立し、リモコンで設定もできるので工事は最小限。テナントへの影響もほとんどなく、入居準備もスムーズ。ビルオーナーは工事費と管理負担が減り、テナントは電気代を減らすことができる。お互いにとってメリットがあるという。
同製品は、オフィスでの会議室などのスペースで20~50本程度を制御して使うことを想定。特に会議室での調光や、働き方改革でオフィス環境を整備する場面場面でも役に立つだろうとしている。
人手不足が深刻化するなかで、施工性が非常に高く、省エネにもつながるとして来場者の関心を引き、とても評価が高かった。9月から発売予定で、1年間で5万台を目指していきたいと話している。
メインステージ 魔法をかけて電源製品を高付加価値化
またブース全体では、電源設備の製品とその診断技術を数多く出品。「電源設備に診断技術を掛け合わせることで“お得で安心な製品”に変身する」というメッセージを、メインステージで魔女が製品に魔法をかける演出で訴求。電設業界ではまだ普及途上の診断技術をPRした。
また同社では来年以降のIoT関連の商品やシステムの発表を目指し開発を進めており、その時にはより診断機能が効果を発揮するとしている。