日本政策金融公庫は、中小製造業の設備投資動向調査の結果を発表した。
2019年度の国内設備投資額の当初計画では、18年度実績に比べて4.9%減の2兆6709億円と見込んでいるが、18年度当初予想に比べると5.7%増の予想となっており、下期以降の景気回復次第で盛り返す可能性もある。
18年度好調の材料・素材、機械
調査は毎年行われているもので、今回が120回目となる。従業員20人以上300人未満の中小製造業に対してアンケート調査を行い、1万294社から回答を得た。
18年度の国内設備投資額の実績は、17年度に比べて7.1%増の2兆8090億円。全17業種中11業種で増加となった。
設備投資額が大きな食料品が3.1%増、化学が0.7%増、輸送用機器が1.0%減、電気機器が2.2%減と全業種平均を下回ったが、同じく金額の大きな金属製品が16.4%増、生産用機械が9.8%増、プラスチックが19.8%増と好調。また鉄鋼(21.8%増)、非鉄金属(57.9%増)、業務用機械(23.2%増)、木材・木製品(25.7%増)。印刷関連(20.7%増)などが大幅増となり、全体で好調を維持した。
19年度の当初計画では、18年度に控えめだった分野で設備投資が復活し、食料品が7.9%増、輸送用機器が14.4%増、化学が11.5%となる見込み。一方で、金属製品(1.8%減)、生産用機械(24.0%減)、プラスチック(22.5%減)、鉄鋼(14.3%減)などが揺り戻しによって減少に転じると見られている。電気機器は苦戦が続き、9.9%減となる。
新製品・新規事業開発に積極的
設備投資の目的では、18年度実績では、設備の「更新、維持・補修」の割合が35.0%と最も高く、「能力拡充」(30.5%)、「省力化・合理化」(14.3%)と続いた。
19年度当初計画では、「能力拡充」が前年の30.5%から31%へ、「新製品の生産、新規事業への進出、研究開発」が13.6%から14.9%へと割合が上昇。「省力化・合理化」は14.3%から13.3%へ、「更新、維持・補修」は35.0%から34.6%と割合が低下した。
業種別では、金属製品や鉄鋼、木材、プラスチックなど素材材料系と生産用機械や業務用機械など機械系は能力拡充が多い。一方、自動車など輸送用機器(25.7%)、繊維・繊維製品(28.5%)、電気機器(15.3%)は、新製品、新規事業研究開発に積極的な様子だ。