中国工場での品質管理の進め方
~不良品を流出させない仕組みを作る~③
「入庫~出荷」 基本管理を「徹底」
不良を流出させないためには、下記項目を徹底してやることが重要です。
1.検査を機能させる
①検査で不良品を検出する
2.工場基本管理の徹底
①5S
②識別管理
③不良品が発生したときの処置
④製品の扱い
前回、識別管理まで説明しましたので、今回は残りの項目について説明します。
③不良品が発生したときの処置
検査をきちんと機能させれば検査で不良品を検出することができます。加えて大事なのがその検出した不良品の処置です。この不良品の処置を適切に行わないとせっかく検出した不良品が、いつの間にか良品に混ざって顧客のところにいってしまうことになります。
わたしは中国駐在員時代に、購入部材の品質管理責任者をやっていました。その関係で仕入先から提出される不具合対策報告書をいやというほど読んできました。その報告書の中に「自社検査で発見していたがその後の処置が悪く流出してしまった」という内容のものが散見されました。非常にもったいないことだと思います。
このようなこともあり、工場監査に行くと作業者や班長、検査員たちに「不良品が出たらどのように処置するのか、不良品が出たらどうするのか」を可能な限りインタビューするようにしています。全員が同じ答えとなることが当たり前で、1人でも違う処置をする人がいれば、そこから不良品が流出してしまいます。
これも作業者、班長、検査員、全員に適切な処置を徹底させることが重要です。
④製品の扱い
工場の作業者、検査員など従業員が自社製品や部品、材料などをぞんざいに扱うことなく丁寧に扱っていることが求められます。工程での製品や部品、材料のハンドリングが荒いと本来の作業以外のところで不良となる可能性があります。また、梱包が終わった後の倉庫での倉庫作業者のハンドリングに問題はないでしょうか。
日系を含む多くの中国工場で倉庫作業をずっと見ていると、作業者が梱包した箱を投げる場面を見ることができるのではないでしょうか。梱包された製品はすでに出荷検査が終わっているものですから、もしハンドリングで破損などしても検査はしないので、不良品は発見されることなく顧客に出荷されてしまいます。
現場の作業者への教育はできていても、倉庫作業者まで教育が及んでいないためにこのようなことが起きるのです。工程の作業者だけでなく、入庫から出荷まで関わる従業員すべてに対して品質意識を高めるための教育をしなくてはいけないということです。
今回は、基本管理ということでできていて当たり前のことを書きましたが、自社工場でできているか、しかも、徹底されているかという視点でチェックしてみてください。仕入先に対しても同様の視点で工場監査および指導をしてください。
これら基本管理を徹底することで、不良の流出は間違いなく減ります。繰り返しますが、「徹底」をキーワードとして、取り組んでください。
★外観目視検査セミナー開催
2019年9月26日(木) 10:00~16:30
会場:東京・北とぴあ
受講料:3万2400円(税込)
「精度向上に向けた外観目視検査の上手な進め方と具体的実施手順」
~外観品質を保証する・バラツキ低減・精度向上のための基礎講座~
基準の設定、限度見本、検査員の能力を最大限に発揮させる検査環境、検査員の育成・教育、検査精度維持のための定期認定、海外工場で実施するときのポイントについて解説。
詳細は、KPIマネジメント(株)または下記URLから。
http://www.prestoimprove.com/seminar20190926.html
◆根本 隆吉
KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント。電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導および品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走。著書に「こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善〈虎の巻〉」(日刊工業新聞社)など。