医療機器・精密測定器など採用
ロボットや自動化技術の進化と需要の高まりによってこれまでにないようなアイデアのロボットや自動機器が生まれ、あらためてその駆動部となるモーター選びの重要性が高まっている。
ハイエンドの小型モーターを世界で展開し、多くの最新ロボットに採用されているマクソンジャパンの船所匡司代表取締役社長に話を聞いた。
サービス市場の本格化にも期待
–御社について教えてください
スイスに本社を構えるモーターメーカーで、売上高はグローバルで約570億円。主に500W以下の小型DCモーターを製造・販売し、コアレスモーターを得意としている。高速駆動と高い応答性、静音、低発熱の特長を生かし、精度や性能を求める高付加価値の領域で多く使われている。特にCTスキャンや内視鏡等の医療機器分野と、精密測定器などのインダストリー分野を中心に、航空宇宙、eモビリティ・ロボティクス、トランスポーテーションなど5つの領域に注力している。
原則として当社からの直接販売で、標準品をベースとしたカスタム品が大半を占める。お客さまの要望やアプリケーションを理解し、適切なモーターを選定してもらうようにしている。
–ロボット関連はいかがですか?
20年以上前からロボット向けに小型モーターを提供しており、特にサービスロボットで多く使われている。サービスロボットは産業用ロボットと異なり、バッテリ駆動が多く、効率の良いDCモーターが適している。またレスポンスが良く、加減速が効き、姿勢制御などにも使われている。受付案内ロボットやヒューマノイドロボット、大学の研究室などにも多くの実績がある。
しかしサービスロボットの領域は、すでに多くの企業が参入しているにも関わらず、まだこれといったものがでていない。社会全体としてどういうロボットが必要とされているかが明確になっておらず、市場としては手探り状態。将来的には大きな市場になるのは確実で、花開くことに期待している。
注目はハプティクス技術
–今後について
技術的には、触った感触をフィードバックするハプティクス(触覚)技術に注目している。当社の小型モーターは遠隔操作の手術用ロボットにも使われており、手術はもちろん、医療や介護ロボットなどにも広がっていくだろう。そこでは応答性の高さが求められ、当社のコアレスモーターが得意とする領域だ。また他のサービスロボットや産業用ロボット等でも活用できるだろう。
近年は、さまざまな領域で垣根がなくなってきている。モーターでもDCとAC、産業用ロボットとサービスロボットなど、これまで別々だったものが、お互いの領域に入り込んでいる。ACでなくてもいい場所にACサーボモーターが使われているケースをよく見かける。ACとDCの特長を把握し、柔軟に使い分けすれば、もっと生産性や効率の良い装置が作れるだろう。
またモーターやアクチュエータを使って新たな装置を作りたいという人も増えている。産業用では価格が高く、大きさやスペックが合わないが、ホビー用では性能的に物足りないという声は多い。産業用とホビー用の中間領域は空白地帯であり、そこはカスタムに強い当社の強みを発揮できる領域だ。
直接販売の強みを生かし、こうしたモーターが欲しい、こんなことがやりたいが適したモーターを探しているといったニーズを集め、提案を進めていきたい。