Society5.0実現へ基盤整備
経産省は2020年度予算の概算要求を発表した。総額1兆4292億円のうち、産業技術関係予算には7799億円を計上。イノベーションエコシステムの構築とSociety5.0の実現、社会課題の解決に向けた技術開発に対して重点的に投資していく方針を示した。
スタートアップ支援や国際標準化、海外連携を促進
イノベーションエコシステムの構築については、①未来に向けた投資としてシーズ開拓とスタートアップ育成をはじめ、②産学や海外との連携などの柔軟なオープンイノベーションの仕組み構築、③国際標準化などイノベーションを支える基盤の整備に力を注ぐ。
①ではシーズと若手研究者の発掘と支援に加え、新産業創出や革新的な挑戦的な研究の実施、研究開発型のスタートアップ企業の支援、J-Startupのユニコーン企業への育成をサポート等に対し160.8億円を計上。
②は、世界の優れた技術やノウハウ等の有効活用のための海外連携ルール構築や地域イノベーションを生み出す産学融合の場の創出・支援に対して80.7億円を計上した。
③は、国際標準化や国研の体制構築などイノベーションを支える基盤の整備、サービスなども含めた戦略的・迅速な国際標準化の推進や、NEDOの技術インテリジェンス機能や産総研の橋渡し機能・地域拠点整備事業等の国研の体制強化に849億円としている。
環境技術と人手不足に手厚い予算 ロボットハンド開発など
社会課題の解決に向けた革新的技術開発では、環境と健康長寿社会、人手不足対策、新たな移動手段、Society5.0を支える基盤技術に注力する。
環境技術では、CCUS/カーボンリサイクル、水素エネルギー技術、革新的な省エネ技術の開発と海外採用に向けた取り組み、洋上風力発電技術、プラスチック利用の高度化などを行い、環境と成長の好循環を作り上げていく。これに対して1641億円が計上された。
健康長寿社会の実現に対しては、ロボット介護や先進的な医療機器開発、再生医療・遺伝子治療の産業化などを行うため198.3億円。人手不足の解消に向けては、ロボットのハンドリング技術の研究開発や、社会インフラ点検に向けたロボット・ドローンの開発等に65.5億円。
新たな移動については自動運転やMaaS、電動化の技術開発と社会実装に199.5億円。Society5.0を支える基盤技術開発には326.2億円を計上し、次世代AI基盤やIoTセンシング、次世代コンピューティング、AIチップ開発等の開発を進めるとしている。