「工場のIoT化をしたかったら、まず機械を入れろ。PLCが付いた設備が入るだけで目的の95%は達成している。機械化できていないのにビッグデータとか夢物語は言うな」。
ある自動車メーカーで生産技術として働いていた人がTwitterでつぶやいた一言だが、なぜか妙に心に刺さった。
弊紙も含め、工場の自動化やオートメーション、スマートファクトリーやIoT、ロボットに対する考察や記事が世にあふれている。しかしそのほとんどが、PLCはすでに工場や機械に入っている、使われていることを前提に論理を展開している。
しかし、あらためて考えてみると、PLCは100%普及しているのだろうか? PLCは1960年代後半に初めて開発され、製品化されてから50年以上がたつ。制御の主要技術がリレーからPLCに置き換わり、すでに広く使われているが、一方でPLC制御までは必要ない、リレーで十分という工程はたくさんあった。そうした場面ではPLCは入っていない。
いまPLCに求められている役割は「制御」だけではない。高精度な制御に向けて情報を集めて、処理し、制御指示を出すものとしての「制御+情報」の中核。かつてとは役割が異なっており、その意味では普及はまだまだだ。
工場内の作業工程はもともと手作業にはじまり、ツールを使った半自動、人が機械を操作する自動化へと進んできた。今はPLCを使った自動制御による自動化の真っただ中。その次にIoTやAIなど知能がついた自動化が来て、最終的に機械や装置が自分で判断して動く自律化へと至る。
これは段階を踏んで進化していくものであり、現場現状現物を見れば、「IoTの前にやるべきことがある。PLCを入れよう」というくだんの主張は正しい。
PLCは工場、製造現場の頭脳。IoTやAI、ロボットなど次のステップに進むためにも、「制御+情報」の土台を作るためにもまずはPLCの導入。あらためて、これを声高に訴えていきたい。