IoT、AI活用進む
富士経済は、スマート工場を構築するシステム・製品の世界市場について、2025年のスマート工場関連市場は6兆9543億円となり、18年比3.0倍になると予測。さらにものづくり向けAIはユーザー理解が深まって使える技術として導入が増加し、3080億円まで伸びるだろうと見込んでいる。
同社はスマート工場について、多品種少量、変種変量生産に対応する知能化された柔軟性が高い工場と定義。工場のスマート化により、これまでハードウエアを中心に構築されてきたFAシステムが、ITとハードウエアを組み合わせたシステムへと変化し、IoTデータを活用することで安定した歩留まりや生産能力を維持する24時間稼働工場、自律型AGVを積極的に活用することでレイアウト変更が簡単な工場などの構築が可能となるとしている。
その構成要素は、インテリジェント生産システムとしてIoTプラットフォームをはじめ、PLM、SCADA、MES、生産スケジューラ、シミュレーション、モノづくり向けRPA、AIシステムなど。コントローラとして産業用PC、PCベースのコントローラなど。製造・搬送装置として協働ロボット、リニア搬送システム、アーム付きモバイルロボット、3Dプリンターなど。画像や振動、圧力、電流、温度、画像など各種センサ。ダッシュボード、レコーダー、AR・MRなど見える化ツール。ネットワーク関連として無線LAN、クラウドサービスなど。FAセキュリティ、クラウドソーシングなどメイカーズ関連を挙げている。
スマート工場関連市場について、18年はインテリジェント生産システムやコントローラ、製造・搬送装置、センサ、見える化ツール、ネットワークなど、スマート工場関連市場における全てのカテゴリーが拡大。特に伸長したのは、生産効率化などを目的にIT化を進める企業が増加したことからインテリジェント生産システムや、見える化ツール、人手不足や技能の可視化、共有化の解決手段となるロボットやAGVなどのインテリジェント製造・搬送装置が牽引。
19年は、米中貿易摩擦の影響で景気の減速感があるものの、スマート工場化に対する意識は高まっており、既存生産ラインの見える化やIT化が進み、市場は前年以上の伸びを見込んでいる。
AIシステムやアーム付AGV、AR/MRなど話題の製品について、AIシステムはユーザーの理解が高まり、使える技術として導入が増加。品質管理と省人化に貢献するソリューションとして市場は拡大を続け、19年は700億円、25年には3080億円(18年比5.6倍)を見込んでいる。
ロボットアームを搭載したAGVは、19年は100億円、25年は295億円(同3.5倍)を予測。スマートグラスは、点検作業の遠隔支援のほか、海外ではピッキング作業や医療現場の遠隔支援などで採用が進んでおり、19年は53億円、25年は185億円(同4.3倍)を見込んでいる。