最近「未病」という言葉をよく聞く。健康な状態と病気の間の状態のことで、医師たちは「症状が軽いうちに異常を見つけて病気を予防しましょう」と呼びかけている。これまで医療技術は病気が起きた後の処置を中心に発展してきたが、技術の進歩によって「未病」にたどり着いた。
未病は製造業で言えば、壊れる前に予兆を検知して対処する「予防保全」や「予知保全」に近い。
IIFESでは、予知保全をさらに進化させた保全の形が三菱電機から提案されていた。
一言で言えば、製造現場向けドライブレコーダーを使った「事後保全」。故障時のデータをカメラ画像とシーケンサ・PLC内のデータと合わせて蓄積。機械が壊れた時のデータをシミュレーターにかけてデジタルツインで再現すると、どこで何が起きたかがリアルに可視化でき、保全担当者はそれを見るだけで原因を把握でき、再稼働までの時間を圧倒的に短縮できるというものだ。
未病と壊れた後の迅速な処置をダブルで行うことで生産停止のリスクを大きく減らす。アイデアとしてはごく当たり前でシンプルだが、目の付け所が素晴らしい。
予知保全も事後保全もすべてIoTでデータを蓄積していたから実現できたもので、これからはやはりデータ活用が重要になることが実感できる。IoTとデータ活用はもちろん、ロボットやAIなど新技術は、これまでできなかったこと、無意識で不可能と思って人手で頑張っていたことを軽減できる可能性が十分にある。
取り組みに先んじる。そうした気概が重要だ。