IoTの中核担い 大きな役割
独の大手センサーメーカー、ジックと日本のセンサーメーカー、オプテックス(現オプテックス・エフエー)が1989年合弁で設立したジックオプテックスが2019年で30周年を迎えた。
日独のセンサー専業メーカー同士の協業は当時から注目を集め、この30年間に大きな足跡を残している。30年間の成果と今後の取り組みなどを、独・ジックのロバート バウアー会長と、オプテックスグループの小國勇代表取締役社長兼CEOに聞いた。
—— 設立30周年おめでとうございます。30年の間には色々なことがあったかと思いますが、印象に残っていることをお聞きかせください。
バウアー氏
一番印象的なのは、日本のオプテックス・エフエーと独・ジックという違う国の会社がこれだけ強い関係性をずっと保っていることです。加えて両社がお互いに協力しながら解決策を求めて技術を持ちより、一つの商品として完成させようとする姿勢です。
小國氏
私は1991年からこの会社に加わったが、こんなに長く続くとは思わなかったです。非常に印象的なのは、両国はモノの考え方が違うという印象があり、独はロジカルでスクエアであるのに対し、日本はどちらかというとアナログタイプであり、これで両社が理解し合えるのかと感じたのですが、お互いに理解しようと努力した結果が30年間続いた一番のポイントであると思います。
ジックは独の会社ながら、日本人のモノの考え方、日本の会社の文化を理解しながら合わせていただいたことで、一つの製品をつくりあげるうえでも非常に大きかったです。
—— これから31年目がスタートしますが、今後両社が目指す方向をお聞かせください。
バウアー氏
市場の要求に従って製品やソフトウェアの開発を進めることが一番で、次に大事なのはわれわれの製品とお客さまとの関係性をつくることです。これがお客さまの中に入っていける方法と考えており、これからこの方法を探していきます。
小國氏
ジックもわれわれもセンサーをつくっていることから、ジックオプテックスとしてこういうものができるという開発力のアドバンテージをお客さまから強く求められることになります。これからはジックオプテックスとしての強みを発揮しながら、高機能センサーとしての得意分野の変位センサーや通信機能などを強化して、独自性を発揮していくことが今後の方向性であると思っています。
—— 変位センサーや通信機能などの製品開発でロードマップなどがあれば聞かせてください。
バウアー氏
非常に高機能な変位センサーをリリースしていますが、今後も高機能で簡単に使えるセンサーを開発していきます。例えば、変位センサーも1次元だけでなく、2次元や3次元、さらに画像センサーも色を検出するといったようにどんどん高機能化して、最終的には何でもセンシングできるようにしていきたいです。異なる製品・技術を組み合わせていくことで、お客さまの利益につながるものを開発していきたいと考えています。
小國氏
まだお話しできないロードマップもありますが、ジックではいまIO-Link対応製品の発売を準備しています。ジックオプテックスの一番の強みは、こうした将来の方向性に向けジックの固有の技術や開発スキルを利用させてもらう事で新しい製品につなげられることです。
—— インダストリー4.0などに代表されるデジタル技術を駆使した新しいものづくりについて聞かせてください。
バウアー氏
インダストリー4.0はすべてのものから情報を取るということですが、基本的にあらゆる情報はセンサーから出ます。その通信規格としてIO-Linkなどがありますが、その先の解析の部分でどう使うかが一番重要になってきます。3つのレベルである下位の機器からのセンサー情報を、通信を介して上位レイヤーのAIなどのソフトウェアにつなぎ、解析することになります。この3つが揃うことが重要です。
小國氏
昔のセンサーはON-OFFの情報を出すだけでしたが、そこに色々な機能が要求されてソフトウェアが付加されてきています。
—— ジックオプテックスの開発メンバーに今後期待することを聞かせてください。
バウアー氏
今の形で今後も日独がコミュニケーションを取ってよいものをつくっていければいいと思っています。
—— ありがとうございました。