ロボ・AGV設計活用進む
小型・軽量・薄型低価格の導入可能
クローズドループ制御とオープンループ制御の両方の制御ができるステッピングモーターとして、20年以上にわたってFAや自動機業界でヒットしているオリエンタルモーター「αSTEP(αステップ)」。
人手不足でロボットや自動化需要が盛り上がるなか、さらに広がりを見せている。
FAや自動機で20年以上ヒット
αSTEPは、ステッピングモーターながらクローズドループ制御機能を持ち、状況に応じてオープンループ制御と切り換えながら使えるハイブリッドのステッピングモーター。通常はオープンループ制御で動き、負荷が高まったらクローズドループ制御で位置を補正しながら動くことができる。
オープルループ制御のステッピングモーターの信頼性を上げたいとの考えから開発がスタートし、同製品は「ステッピングモーターでクローズドループのフィードバック制御をしたらいいのでは?」という逆転の発想から生まれた。
1998年の初代のASシリーズ発売以来、すでに20年以上にわたってヒットしているロングセラー製品で、今は3代目のAZシリーズが発売されている。
ステッピングモーターは、もともと止まっている状態からパルス信号によって移動量を決めるモーターで、高精度な位置決めと低速のトルク性に優れ、1980年代には半導体製造装置で多く採用された。90年代になると、装置の動きの管理やより高速で高精度に制御をしたいという声が高まり、クローズドループ制御ができるαSTEPやサーボモーターが広がった。
その後、小型化と精密位置決めが求められる医療機器や分析機器に波及し、ステッピングモーターの特長である小型薄型化と、スライダやシリンダ、ラック・ピニオン、ロータリーアクチュエータといったアクチュエータタイプや、位置決め機能内蔵ドライバや各種産業ネットワーク対応製品など幅広いラインアップによって、今では業界や機器を問わず、多くのアプリケーションで使われている。
これまで生産設備や自動化装置を中心に広がってきたが、近年のロボット需要の高まりを受け、ロボットでの活用が進んでいる。
最新モデル「AZシリーズ」はバッテリレスアブソリュートセンサ搭載タイプで、小型ロボットの設計や自作に最適で、アーム型やスカラ、パラレルリンク、XYロボットなどの軸用モーターとして使われている。また小型で軽量、トルク制御ができることからロボットハンドなどのエンドエフェクタにも効果的で、チャックやグリッパなど把持に加え、ディスペンサやネジ締め、圧入機構の駆動部としても使われている。
営業企画部 営業企画課加藤淑豪主任は「ロボット業界が抱えている一番の課題はロボットの普及だ。導入にはコストが高く、中小企業では手が出しにくい。それに対しステッピングモーターを使えば低価格のロボットを作ることもできる。単純作業をするロボットのモーターとしてステッピングモーターは有効な選択肢となる」とし、同営業本部商品企画部多田冬樹課長は「自動機やロボットはもちろん、特に人と一緒に働く協働ロボットに注目している。協働ロボットは高速移動を必要とせず、ワークは軽いものが多い。これはステッピングモーターが得意とする領域で、小型軽量、薄型なのでピッタリだ。またAGV向けにも適しており、ロボットやAGVを作りたいという人や企業に対して提案を強化したい」としている。
お客さまが望むモーション実現
既存の生産設備で位置決め制御の高度化や小型化、低コスト化要求が高まる一方、人による作業が中心だった分野でもロボット化やオートメーション化のニーズが高まっている。特に後者の場合、モーターや制御技術に詳しいわけではなく、αSTEPも初めてという場合が多く、従来とは切り口を変えた提案を進めている。
多田氏は「ロボットの軸はサーボモーターだと思っている人が多いが、そうではない選択肢も示していく。ロボットやAGV、自動機を開発したい人向けにステッピングモーターやαSTEPの有効性や魅力を伝えるようにしている」という。
加藤氏も「お客様が実現したい動きは何か? という切り口で、お客様の求める動きに対してモーションを提案していく。
特に自動化のニーズの高い食品、医薬品、化粧品の3品業界を伸ばしていきたい」と話している。
お客様の望む「モーション」を実現するため、オリエンタルモーターはこれからも幅広いニーズを的確にとらえた製品開発とサービスの提供を続けていく。