【2020年年頭所感】日本食品機械工業会「食生活の安定的向上へ寄与」海内栄一 会長

日本食品機械工業会 海内栄一 会長

 

皆様明けましておめでとうございます。令和2年(2020年)の新春を迎え、心からお慶び申し上げます。

さて、昨年は大型の台風15号、19号が相次いで上陸し、数十年に一度と言われるほどの豪雨が各所で降り、河川は氾濫、多数の方々が被災され尊い命が失われました。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに被災された方々にお見舞いと一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

昨年の国内景気については、大手企業を中心に企業収益は堅調に推移し、労働力不足を背景とした合理化・省力化に向けた設備投資は堅調で個人消費も緩やかな回復を見せ始めましたが、昨年10月から消費税率が10%に引き上げられ、個人消費の減速、企業収益の悪化が懸念されるなど、国内景気の動向は予断を許さない状況にあります。

国外の情勢では、米中貿易摩擦や中国経済の減速、英国のEU離脱、新興国危機、中東情勢の緊迫化など、世界経済の下振れリスクが大きく懸念されております。

一方、アフリカ大陸自由貿易圏(AFCFTA)設立協定が昨年5月に発効されました。全55か国・地域が参加すれば人口12憶人の世界最大の自由貿易圏が動き出します。今後の行方には十分な関心を持つ必要があるでしょう。

こうした国内外の動向の中、我が国食品機械の昨年の販売額は、機種によって異なるものの全体では前年を若干上回る見込みですが、今後の企業経営に関しては多くの会員の方々が厳しい見解を持っておられます。

食品業界では、食品の安全性の担保、深刻化する人手不足、低価格化、多様化する消費者ニーズ、環境対策、人口減少による国内市場の縮小など、どれをとっても重大な課題を抱えております。

私ども食品機械業界を取り巻く環境をみますと、本年6月に改正食品衛生法が施行され、原則としてすべての食品等事業者がHACCPに対応した衛生管理の導入が義務化されます。これまで以上に食の安全性が厳しく追及される時代になりました。

食品業界では深刻化する人手不足に対応するため、食品製造現場の自動化・省人化が喫緊の課題となっています。人とロボットとの協働にも注目が集まり、AI、IOT技術の援用など、まだまだ食品製造現場への導入には多くの課題があるものの、食品機械が解決すべき重要な課題と位置づけ、業界のさらなる発展の契機として、ユーザーニーズにお応えできるような提案を行っていきたいと考えております。

当工業会では、食品機械の安全・衛生化の推進、国際化への対応、人材の育成などに積極的に取り組み、ユーザー業界の期待に応えてまいる所存であります。

本年は6月23日から4日間「食の技、大阪に集結。」のキャッチフレーズのもと「FOOMA JAPAN2020大阪」を開催いたします。43回目を迎えるFOOMA JAPAN2020大阪は東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴い、初めて大阪でFOOMA JAPANを開催することとなりました。インテックス大阪1号館~6号館全てを使用して大阪を舞台に食の技術の進化を発信してまいります。

「食の安全・安心」を中心課題としつつ、生産性向上や高効率化のための技術、自動化、省人化を図るロボット技術など最先端のテクノロジーと最新鋭の製品やシステムの展示を通じて、食品産業全体の一層の発展に寄与していく所存です。

当工業会は業界一丸となって、引き続き食品機械工業の発展と食品製造の効率化を目指し、食品製造業の皆様とともに国民の食生活の安定的向上のため、その責務を果たしてまいります。

本年も当工業会に対する皆様方のより一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 
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