日本半導体製造装置協会 牛田一雄 会長
謹んで新年のお慶びを申し上げます。旧年中は当協会の活動にひとかたならぬご協力をいただき、心から感謝申し上げます。
今年の半導体製造装置の市場環境につきましては、先端ロジック向けの投資が引き続き堅調に推移する見通しに加え、昨年は在庫調整が続いていたメモリーに底打ち感が出てきており、投資回復が期待されます。IoT、AI、5Gといったアプリケーションが広がって行く中で、エッジで様々なデータを作る「Sense」、そのデータをクラウドへ送る「Communicate」、データを処理する「Compute」、処理された結果をエッジへフィードバックしモノを動かす「Drive」のループが半導体の成長を牽引し、CIS、パワー、アナログ等に向けた投資も増加する見込みです。
FPD製造装置については一部では投資延期の兆候があるものの、新技術を含む大型有機ELへの投資が計画されるなど液晶から有機ELへ移行する節目にさしかかっており、中国の投資意欲も依然旺盛で日本の製造装置メーカーにも商機があります。
この状況をうけ、当協会では本年の日本製の半導体・FPD製造装置の成長率は、調整局面にあった昨年から、再びプラスに戻ると予想しています。
さて、現在SEAJでは「海外へのビジネス展開を視野に入れた安全教育の支援」と「将来の業界を担う人材への啓発」を重要テーマとして活動しています。
SEAJ会員企業の取引の8割は輸出が占めており、とりわけFPDについては8割が中国向けとなっています。昨年は米中摩擦や日韓問題などのニュースで半導体に関することが連日取り上げられ、SEAJにも多くのお問い合わせをいただきました。このような状況において海外へのビジネス展開をサポートするため、中国に関する専門家によるセミナーや交流会などを開催し、タイムリーな内容が好評を博しました。また、安全教育に関しては中国語を含む外国語版の動画を作成し、「安全の標準化」を目指した海外展開を進めています。
人材育成や学生への啓発としては、高専セミナーやシンポジウム、学会などでのイベントを積極的に開催しています。SEMICON Japanにおいては2030年をイメージした映像を紹介し、AIや5G、自動運転といった技術に深くかかわる半導体とその製造装置がもたらす明るい未来を若い方に感じていただきました。
こうした活動を通して、本年も半導体・FPD製造装置業界の発展に寄与していきたいと思います。
最後に、皆様のますますのご発展とご活躍を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。