モバイルロボットの世界トップメーカーMiR、日本市場 本格参入へ

APACセールス部門バイスプレジデント マルク・マドセン氏
日本支店代表 小泉 直大氏に聞く

ここ数年、AGVやAMR(Autonomous Mobile Robot、自律搬送ロボット)への関心度が高まっている。特にAMRはモバイルロボットとも言われ、AGVよりも高い知能と安全性を備え、現場の人手不足や生産性向上に向けて検討が進んでいる。

モバイルロボットの世界トップメーカーのMiRは2019年に日本支店を開設し、日本市場への本格参入を果たした。APACセールス部門バイスプレジデントのマルク・マドセン氏と日本支店代表の小泉直大氏に話を聞いた。

小泉 直大氏(左)とマルク・マドセン氏

 

自動車、エレクトロニクス、物流に期待

—— 御社について教えて下さい

マドセン氏
13年に協働型の自律搬送ロボット専門メーカーとしてデンマークのオーデンセで創業。15年に初号機となる100㎏可搬のMiR100を発売し、そこからMiR200(200㎏可搬)、牽引型のMiR Hook100、MiR500(500㎏可搬)、MiR1000(1t可搬)と、ほぼ毎年新たな製品をリリースしている。

創業者で現CTOのヤコブセンは早くから搬送ロボットに着目し、なぜ導入が進まないのかといつも考えていた。それをユーザーに聞いてまわり、「安全性」と「使いやすさ」という答えを得た。それらを製品に取り入れることにより、世界で最も安全性の高い自律型モバイルロボットを実現し、今に至っている。

 

—— 安全性とは? 具体的に

小泉氏
MiR AMRには前方に2つの3Dカメラ、前後に1台ずつLiDARを搭載し、周囲360度の視野を持っている。LiDARはカテゴリー3安全基準を満たしたISO13849認定で非常に安全性が高いものを採用している。さらに4方にはそれぞれ複数のセンサがあり、周囲の環境変化を瞬時に漏らさず捉えて動きに反映することで安全性を担保している。

全モデルに非常停止、現場切り替え、人員検知、過速度検知を組込み、MiR500、MiR1000はその上でフィールドミューティンなどの能を搭載している。MiR AMRは安全性の高い協働ロボットであり、人材の不足を補完でき、日本でも多くの需要が見込めるだろう。

 

—— 使いやすさについて

小泉氏
「使いやすさ」についても、マップ作成・管理ソフトウェアは直感的で専門知識がいらずに操作できるGUIとなっている。移動開始地点と終点を設置するだけで、初心者でも5分でマップを作ることができる。木箱に入った状態で送られてきて、箱を開けて製品を取り出し、マップを作ったらすぐに現場で動かすことができる。

またビルの制御システムと連携することでMiR AMRがエレベータを呼び、複数階を行き来させることも可能だ。とてもシンプルで使いやすいシステムになっている。

 

—— ターゲットについて?

小泉氏
APACでは自動車、エレクトロニクス、半導体業界などで採用され、グローバルでは物流やライフサイエンス、生活用品や三品産業など。最近はテキスタイルや航空宇宙業界でも使われている。日本では自動車業界や部品工場、エレクトロニクス、物流関連に期待している。とは言え、実際は何を運ぶかはあまり関係なく、業界も問わない。

手やフォークリフト、AGVや台車で運んでいるものであれば何でも対象になる。特にフォークリフトは事故率が高くて危険であり、その置き換え需要に期待している。

 

—— AGVとの違いは?

マドセン氏
AGVよりもフレキシビリティがある。AGVは工場レイアウトを変える場合、磁気テープを変えるのが大変だが、MiR AMRはその手間がいらない。少量多品種生産が進むなか、今後はカスタマイズ性が重要になる。今までのライン生産は右から左へ順番どおりに作ってきたが、これから納期やターゲットに合わせた柔軟な生産形態が求められる。

 

—— 今後について

小泉氏
産業用ロボットは18年11万台から、23年には70万台まで伸びると言われている。このうちeコマースやヘルスケアなど非産業領域が68%を占めると見られており、そこを狙っていきたい。

また日本はロボット密度(従業員1万人あたりロボット台数)で世界第4位。18年の日本市場は17年の倍以上の成長を遂げた。20年も同様に高い目標を立て、達成を目指していく。

 

参考:MiR

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