人材育成・組織構築に課題
日本のものづくり企業のIoT化、デジタル化は進んでいるのか? 第4次産業革命、デジタル変革が叫ばれるようになってから、常に関心の高いテーマだ。
日本能率協会コンサルティング(JMAC)は、「第5回ものづくりIoT実態調査」の結果を公開し、現場レベルでのIoT化は企業規模問わず実行されてきており、工場全体のスマートファクトリー化を検討する企業が増えてきている。これらをより一層進めるためにも、現場レベルでは可視化から改善につなげること、自社なりのスマートファクトリーの姿を考える必要があると提言した。
実行、検討が9割超
同調査は、製造業におけるIoTの具体的な取り組み実態についてアンケート調査から導き出すもので、今回が5回目の実施となる。
企業がどのレベルまでIoTに取り組んでいるかについて、現場レベルのIoT化(課題解決)は、回答者の40%がすでに実行中で、計画中が29%、検討中が24%に達し、9割超が実行または検討している。
工場のスマート化やサプライチェーン改革などの最適化は、実行が18%、計画中が30%。IoT化から新たなサービスやビジネスを生み出す価値創造になると、実行中が6%、計画中が18%で、これからの状況だ。
課題解決、最適化とも前年より進展
前回18年からの比較で見ると、課題解決で実行している企業は35%から40%へ、最適化を実行している企業も11%から18%に上昇しており、着実に進展することがうかがえる。
ボトルネックは人材確保
IoT化のボトルネックについては「検討人材の確保、育成」が32%と最も多く、「経営成果がアピールできない」(17%)、「推進組織がない」(15%)、「企画検討の手段が分からない」(11%)と続いた。
こうした結果を受けて同社は業界に向けて3つを提言。
①「IoTで現場の課題解決の取り組みは進んでいるが、ツール導入と可視化だけでなく、改善・成果を出す活動を加速させていく必要がある」とし、 ②「最適化領域で実装が進んでいるが、各社が目指す方向を明確にし、自社にあったスマートファクトリーを構築する必要がある」 ③「検討人材・推進組織の課題が浮き彫りになっている。自社の課題解決、最適化を推し進める人材育成を早める必要がある」としている。