「DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるためにはデジタル人材が不足している」「デジタル人材を育成しなければならない」とよく言われる。
「デジタル人材」という言葉が若干バズワード的な感じがしてきているが、そもそもデジタル人材とはどんな人のことを言い、どんな仕事をするのだろうか?
経済産業省ではデジタル人材を「IT・IoT・AIをツールとして様々な場面で使いこなせる人材、あるいは、デジタルデータを使いこなせる人材(データサイエンティストなど)、IT・IoT・AIを使いこなすためのシステム設計などを手がける人材を指す」と定義している。しかしここから想像される人物像はITや情報システム担当部門、ソフトウェア開発等であり、本当にそれが産業界の求めているデジタル人材なのかは疑問が残る。
DXをしたい企業が求めているのは企業や業務のデジタル変革、もっと言えば「あらゆる現場のデジタル変革」だ。現場業務の理解なくしてデジタル人材はあり得ない。
現場業務とデジタル技術を兼ね備えた人こそ真のデジタル人材の姿だ。
デジタル人材の育成の仕方が分からないと立ち止まっている企業は多い。しかしその解決策はシンプルだ。現場にツールを与え、自由に使ってもらえばいい。それを会社が支援し、その余裕を与えることだ。
例えばデジタルツールの象徴とも言えるスマートフォンは、今や老若男女に普及し、世代を超えて多くの人を確実にデジタル人材に育てている。理論や理屈ではなく、ツールをきっかけとして実践から入る。それが最も近道だ。
お試しやほんの小さなところからでもいい。デジタル化に慣れることから始めてみよう。